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第204話
「……っ」
何も言えず走り出すみずき…
アキラの部屋の前の廊下を駆け抜け…
階段を駆け下り…
マンションから出る…
バイクまでたどり着き…
「…は、ハァ、ッ…は、ッ…」
走り続け上がる呼吸を抑えながら…
悔しさに奥歯を噛みしめ、両手に拳を握りしめる…
『そうだよ、悪い?』
アキラの言葉が…
態度が…
胸に突き刺さる…
「…ッ、なぜ…、ッくそっ…くそッ!」
ただ悔しくて…辛くて…
みずきの瞳から涙が零れ落ちる…
そして最後に見た、アキラの怯えた顔…
胸が苦しくなる…
「っ…」
その涙を拭い…、振り切るように、バイクに跨り自宅アパートへ帰っていく…
アパートに着き、放心したまま…みずきは部屋に入り座り込む…
様々な感情が入り混じり、うまくまとまらない…
アキラが男と寝ていた事実…
思うと、腹の中を握り潰されるような痛みが走る…
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