遥希がホストとして働き始めたのは大学二回生のころ。 　元々両親の仲がよくなかった家庭であったが、それでもあえてすれ違うことによって夫婦関係は成り立っていた。けれど父親の不倫が母親にばれたことにより、崩れかけていた家庭は修復不可能までに壊れてしまう。 　母親が知ることになったのは、父親の不倫相手が家に突してきたから。冷めた夫婦関係に価値などはない、いつまでも夫にすがりつくとは惨めな女だと散々罵ってくれた。 　しかもそれだけでは飽き足らず、玄関で暴れ手直かなものを破壊する異常行為まで犯し、その音に気づいた遥希が自室より駆けつけ母親を守った。 　すると不倫相手は遥希の美貌に魅了され、以後は父親だけでなく息子にまで手を出そうとする。当然ながら母親は激怒、夫もろとも地獄に落としてやると息巻き刑事訴訟を起こす。 　玄関で暴れたことで母親は怪我を負い、後日診断書も取り被害は写真に収め証拠は充分。それに遥希にストーキングするようになり、まとめて訴えたという経緯だった。 　少しばかり裁判は長引いたが晴れて離婚は成立、不倫相手は前科がつき両親に引き取られ故郷に帰っていった。父親は金も彼女も失い、更に職場バレして閑職。 　持ち家も妻に取られ失意のまま地方に流れていった。