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ある日の夜。

 はぁ、はぁと荒い息をしながら、栗色の少しウェーブした髪を乱して、優希は身じろぎをした。全裸の優希は手錠と足枷で拘束され、その上ネクタイで目隠しをされて、ベッドに寝かされている。視覚を奪われたことで、全身がひどく敏感になっていた。 「っ……、パパ、これ…なんだか…こわいよ……」 「大丈夫だ。たまにはこういうのも刺激的でいいだろう?」  甘く囁きかけるのは、優希の実父である誠一郎だ。下着一枚の誠一郎は、優希の頰を撫でる。そして耳を丸ごと口に含み、くちゅくちゅと舐めしゃぶった。 「んうう…! あっ、あ、ぁ……!」  カチャカチャと拘束具の鎖が音を立てる。耳を舐られる音にすら犯されている気分になり、優希は震えながら喘ぎを漏らした。  胸の突起はふっくらと熟れ、赤く色づいている。そこはこれまで幾度となく揉まれ、きつく吸い付かれたおかげで、肥大していた。 「素直な身体だな。前をこんなに硬くして……先走りも溢れている」 「やぁ…ッ……!」 「ああ、“こっち”もぱんぱんだ。俺に見られて、そんなに感じているのか?」 「ひぅッ……!?」  誠一郎は優希の双玉を手の中で転がした。繊細な場所を弄ばれて息を飲む。不意にキュッと握り込まれて、つま先をひくつかせた。そんな刺激でさえ、優希は耐えきれないほど感じてしまう。  もっと、いっぱい虐めて欲しい――そんな被虐心にかられて、優希は更に息を荒くした。 「さて。これからどうして欲しい? どんな風にされたいんだ?」 「っ……ぁ…たくさん……弄って、いっぱい愛して……っ」 「どこを弄られたい? お前の好きな場所を教えてくれ」  どこかなんて限定できない。唇も、乳首も、完全に勃ちあがった肉茎も。全部に触れて気持ちよくして欲しい――。 「ぜ、んぶ……ぜんぶ触って、虐めて…欲しい……っ」 「全部だって? 全く、わがままな子だ。全部虐めて欲しいだなんて……いつからそんな淫乱になったんだろうな」 「ん、んッ……!」  低音の声が脳を痺れさせる。その声で責められると、優希はたまらなく感じてしまう。愛しい父の声が、優しく触れてくる手が、優希の心と身体を激しく揺さぶった。 「一度に全部は無理だからな。どこを一番に虐めて欲しいか答えなさい」 「っ……!」 「言わなきゃ、ずっとこのままだぞ」  そんなの、耐えられない――。何も見えず、身体を拘束されたまま放置されるなんて辛すぎる。  優希はふるふると首を横に振り、振り絞るようにして願望を口にした。 「っ……おっぱい……虐めて……っ! いっぱい吸って……!」  誠一郎は小さい子どもを褒めるように優希の頭を撫でてやり、「よく出来たな。えらいぞ」と囁きかけた。その熱い吐息が耳にかかり、肩を震わせる。  もう、我慢できない。優希はツンと上向いた乳首を突き出して、愛撫を催促した。 「は、やくぅ……っ」  もし両手が自由だったら、自分で弄ってしまっていただろう。それほど堪らなくなっていた。身悶えしながら誠一郎の愛撫を待っていると、突然大きな体躯にのしかかられて驚いてしまった。しかし、すぐに欲しかった刺激が与えられる。乳首をつままれ、こねまわされ、膨らんだ乳暈ごときつく吸い上げられ――。優希は頭の中が白黒してわけが分からなくなった。 「あっ、んんぅ、ッ……!! ああッ、あ、あぁ……やぁああんッ!!」  誠一郎の行為は性急だった。乳首が真っ赤に腫れてしまいそうなほど激しく吸い上げ、噛みつき、舐られる。口で刺激を与えられていない方もちゃんと指先でいたぶることを忘れていなかった。 「パパっ……ああッ、あンっ……すごいっ…きもち、イイ…!!」  痛むくらいが優希にはちょうどいい。M気質の優希は、痛みが快楽へと変換される。しかし最初からそうだったわけではない。誠一郎に抱かれているうちに、ちょっとの刺激では満足できない身体につくり変えられてしまっていたのだ。  そして、乳首を吸われながら甘噛みされた瞬間、そそり勃っていた肉茎が弾けて白濁が噴き出した。 「あっ、あぁっ……! イく、イってるぅ……!! ああァんッ、ぁ、あ……!!」  どくどくと溢れる蜜が止まらない。焦らされていたこともあり、たっぷりと溜め込んでいた白濁が優希の腹を汚した。激しい快楽が押し寄せてきて、おかしくなりそうだった。 「なんて子だ。乳首だけでイったのか? 俺は『イっていい』なんて一言も言っていないぞ」 「んううっ…ごめんなさいっ……ごめ、なさいっ……!」 「まだ出ているじゃないか。恥ずかしくないのか? 乳首だけでイって、こんなに濃いミルクを延々垂れ流して……お仕置きが必要だな」  まだとろとろと蜜を溢れさせている先端を指先で弾かれ、優希はつま先を痙攣させた。 「ん、あああッ!! ひあぁんッ!!」  優希の反応を見て、誠一郎は笑みを浮かべていた。もちろん、目隠しをされている優希にはそれが見えない。  誠一郎は声音だけ叱るような低い声を出しているが、内心は喜んでいるのだ。それを隠し、言葉で優希を責め立てる。ひどい言葉で詰れば詰るほど、触ってもいないのに優希の肉茎は硬くなり、また天を向く。 「ああ……っ、パパ、許して…パパっ……」  優希の声が涙声になってきた。きっとネクタイは涙でじっとり濡れているのだろう。 (まずはこれくらいで十分か)  誠一郎はようやく責める口調をやめ、代わりに優しい口づけを与えた。 「……パパ……?」 「すまない。少しひどくしすぎたな」  鞭を与えた後は優しく、甘く。これが誠一郎のやり方だ。  この飴と鞭で、優希を快楽の極みへと連れて行く。 「許してくれ、優希」 「パパ……いい、よ……もっとひどくしても……パパになら、何されてもいいから……パパの好きなように、して――」  優希は微笑みを浮かべていた。妖艶で淫らな天使の微笑みに、誠一郎は思わず喉を鳴らす。 「ああ……なんて子だ」  感嘆の声を漏らし、誠一郎は優希に再度口づけをした。  今度は触れるだけの優しいキスじゃなく、口腔を犯すような激しいキス。  求めあう二人は朝焼けを見るまで、深く激しい交わりを繰り返した。

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