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ハッピーハロウィン
ーー10月31日。
今日は、ハロウィン。
魔族の魔力が最大限に上がる日……。
俺はインキュバス、いわゆる淫魔というやつだ。
インキュバスは寝ている人間の女性を襲って精液を注ぎ込み、子供を孕ませる悪魔だ。
だけど俺は産まれてこのかた、人間の女性とセックスをしたことがなかった。
だけど、ハロウィンの今日こそは、人間界へ行き、女性を妊娠させてみせる!
「ラトロケルー!」
意気込んでいたら、名を呼ばれた。
聞き慣れた幼馴染みの声だった。
「ラト、とりっくおあとりーと!」
幼馴染みは俺の前に現れるなり、にこにこと笑ってそう言った。
見慣れた顔の幼馴染みだけど、今日だけはコイツと会いたくなかった。
何故なら、俺が今まで一度も人間の女性とセックスをしたことがないのは、コイツのせいだから!
「なにしに来たんだよ、リアトリス!」
俺は幼馴染みの綺麗な顔面を睨み付けてやった。
「ハロウィンだから、ラトにお菓子貰おうと思って」
俺の睨みに怯むことなく、リアトリスは俺にすり寄って来る。
手を取って、指を絡ませ、いやらしい手付きで二の腕あたりを撫でられる。
「菓子なんかいくらでもやるから、今日はもうほっといてくれ。忙しいんだよ」
「忙しー?出掛けるのー?」
「そ、それは……」
「あー、分かったー。人間界に行く気なんだー」
「えっ、ち、違っ……!」
リアトリスに、人間界へ行く事がバレるわけには行かなかった。
俺が人間界へ行こうとすると、リアトリスは毎回それを阻止してくる。
あの手この手で邪魔をしてくるんだ。
ずっと邪魔をされ続けて来たから、俺は産まれてから一度も、人間界へ行った事がない。
「人間の女の子とえっちするつもりなんだー、やーらしー」
「や、やらしくないよ!それが淫魔の性だろ!?」
「ラトはぁ、人間とえっちしたいんだー」
「そ、そうだよ、エッチしたいよ。悪いか?」
「やっぱり人間界へ行く気だったんだねぇ」
「うわっ」
ぐるりと視界が回ったと思ったら、俺の身体はリアトリスに組み敷かれていた。押し倒されたみたいだ。
「や、やめろって……!なにすんだ!」
「そんなにエッチしたいなら、おれとシよ」
「な……!」
リアトリスが俺の首筋に顔を埋め、舌を這わせてくる。
熱い舌でべろりと肌を舐められて、ゾクゾクする。
「ひ、うっ、や、やめろよぉ……!!」
抵抗しようとリアトリスの肩を押してみるが、俺はなんだか力が抜けてしまって何の抵抗にもならなかった。
「ふふ、ラトの汗おいしー」
「や、やだって……!」
それでもなんとか抵抗しようと身体を捩る。
俺は今日こそは、人間界へ行くんだ!
人間界へ行って人間の女の子とセックスするんだ!
「逃げないで」
「ひンっ……!!」
リアトリスの手が俺の胸に伸びて、乳首に付けられた輪っか状のピアスを引っ張る。
甘い刺激と痛みが、乳首から身体中に走って全身が強張る。
「逃げるならピアス引きちぎっちゃうからね」
「ひ……」
このピアスは、何年も前にリアトリスに開けられたものだ。
コイツが何を思って、何の為に俺の乳首にピアスを開けたのかは分からない。
「あ、ふっ、あ、あっ、に、逃げない、から、乳首、やめっ……!」
ピアスをぐいぐいと引っ張られて、痛みと快感が同時に駆け抜ける。
「ほんとー?逃げない?」
「に、逃げ、ない、よ……あ、ンっ……」
「じゃあもっと気持ちよくしたげる」
「んううっ……!」
リアトリスの長い爪で、ぴん、とピアスを弾かれた。
そのあとに乳首をピアスごとくりくりとこねくり回される。
「やっ、ううっ、はあっ、ん……」
「きもちぃー?」
「う、うんっ、きもちいッ……」
脳みそがとろけて上手く頭が回らなくなって、そんなことを口にしてしまう。
今日こそは人間界へ行くつもりだったのに、俺はまた流されるのか!?
こうして流されてリアトリスに犯される事は、初めてではなかった。
自分が快楽に弱い自覚はあるが、これもインキュバスの性なのか、そういう雰囲気になると力が抜けてしまって抵抗出来ないんだ。
しばらくすると、リアトリスの手は俺の下半身に延びた。
太ももの内側を、つつ、とやらしくなぞる。
「はっ、あ、んッ……」
「もうココ、おっきくなってるよ」
太ももを撫でていたリアトリスの手はいつの間にか俺の股間を触っていて。
パンツの上から指の腹で優しく、少し勃起したチンコを愛撫される。
チンコの輪郭をなぞるようなリアトリスの指の動きは焦れったくて、だけどそれが俺の興奮を加速させた。
「はっ……んっ……」
「ふふ、ラト、かーわいいっ」
「あ……」
カチャリと音を立てて、ベルトが外された。
パンツの前を開けて、そこから直接チンコを触られる。
パンツからぴょこんと飛び出たチンコの亀頭部分をごしごしと程よい力加減で擦られる。
「あっ、ふあっ、んっ……!」
「ぬるぬるして来たぁ」
「あ、あ、あ、んんっ……!!」
勝手に身体が跳ねて、自分の意思に反して甘ったるい声が漏れる。
「ひうぅッ!?」
尿道部分をガリリと爪で引っ掻かれて、痛いくらいの刺激を与えられる。
「あっ、んんんんん……!」
濡れてひくつく鈴口を爪で抉るように刺激される。
それを何度も連続で繰り返されてイキそうになる。
「あっ、ふ、うっ……」
「すっごーい!ラトの童貞ちんぽ、ヨダレだらだらでイキたいイキたいって震えてる~」
自分のチンコを見ると、尿道口はひくひくと震え、だらしなく我慢汁を垂れ流していた。
「イ、イキそう……イキたいいぃっ……」
「イっていーよ」
「んおおっ!!」
更に激しく敏感な亀頭を擦られる。
「ひっ……うっ!んあっ、あ、ふああっ、んおあああああぁっ!」
込み上げて来た射精感に逆らわず、チンコから精液をぶちまけた。
ぶちまけられた精液は、俺の肌やリアトリスの手を白くべたべたに汚す。
「はっ、はぁー……は、あっ……はあ……」
肩を上下させ、息を整える。
「きもちかったでしょー」
リアトリスは満足そうに、恍惚とした笑みを浮かべている。
「人間の女の子とえっちするより、おれとしたほうがぜーったい、キモチイイから~」
「はっ……はあ……ん…………」
「だから、ね?ラトは人間界なんか、行かなくていーんだよっ」
「ん……ふっ……」
リアトリスが顔を寄せてきて、口を口で塞がれる。
「んっ……ふぅ……ん…………」
ちゅ、ちゅく、と音を立てて舌をしゃぶられる。唾液を送り込まれる。
リアトリスのぬめる舌を、素直に受け入れて自らも舌を絡めた。
「んぅ……ふっ、ん、ん……」
リアトリスの舌は、俺の口内を勝手に動き回る。
歯や頬の内側の粘膜を舌で丁寧に愛撫されて、背筋がゾクゾクした。
やがて、唇が離される。
どちらのものか分からない混じりあった唾液が糸をひいて、口と口を繋いでいた。
「ん……はあっ……」
キスが終わるのを、名残惜しく感じてしまう。
もっと舌を絡ませていたかった。リアトリスの唾液がもっと欲しかった。
身体が芯から熱くなって、それしか考えられなくなる。
リアトリスが欲しすぎて、切ない。
そう感じてしまうのは、リアトリスの魔力に当てられているからなのだろうか。
「リ、ア……もう、欲しい……おれっ……」
頭がくらくらして、そんな事を口走ってしまう。
もっと気持ちよくして欲しいという淫らな思いで頭がいっぱいだ。
「いいよ、気持ちよくしたげる」
リアトリスはそう言って、俺にもう一度軽い口付けをした。
「んっ、おあああぁ……!」
ずぶずぶと、腸内に逸物が入ってくる。
何度もリアトリスに抱かれた身体はもう挿入で痛みを感じる事はなかった。
腸壁はただ奥へ奥へと誘うように、伸縮を繰り返しているだけだ。
「ラトのおまんこ、あったくて、やわらかくて、きもちぃ……ぐにぐにしてるっ」
「あっ、はぁんっ、ま、まんことか言うなァ……!」
「おまんこじゃん。こんなにやらしく、おれのちんこぎゅうぎゅうってしてさ~」
「まんこ、じゃな……いっ、うっ!」
リアトリスがゆるゆると腰を動かし始める。
ぐちょぐちょと卑猥な音を鳴らしながら何度もアナルにチンポを出し入れされて、快感が突き抜ける。
亀頭部分が腸内の前立腺を掠める度、気持ちよくて身体がビクビク跳ねた。
「あっ、あっ、きもちいぃ……っ」
「やっぱりラトのココは、おまんこ、だね。こんなに感じてさぁ」
「はっ、あうっ、リ、リアが、俺の身体をこんなにしちゃったんだろぉ……!?あっ、あああっ」
ばちゅん、と、一際強く腰を打ち付けられる。
アナルが勝手にぎゅううう、と締まり、リアトリスのちんこを締め付けてしまった。
「はっ……すごぉ……ラトのおまんこ、俺のちんちん、離さないって、言ってる。大好きだって。ずっと一緒に居たいって……ん、はあぁんっ……」
「んうぅっ……」
恥ずかしくなり、俺は唇を強く噛む。
「んっ、ふあっ!!」
しかしナカを突かれて、すぐに口を開いてしまう。開いた口からは甘い声が漏れた。
「あっ、あっ、あう!激しっ……!」
リアトリスの腰の動きはこれ以上ないというくらいに速く激しくなり、強制的に、継続的に与えられる快感に、脳が付いて行かなくなった。
「あっ、あっ、アッ、あ、き、気持ち、よすぎて、む、無理ッ……!!あああああっ!!!」
「あっはは、おれも、きもちぃよォ……ラトぉ、好きぃっ……」
「んっ、う、あああぁああぁッ!おまんこ、壊れるっ……!あああっ!」
「ふふ、やっぱりおまんこなんじゃん?」
腹の奥が、熱くて、きゅんきゅんする。
気持ちよくて、たまらなくて、リアトリスの細い腰に足を回して身体を密着させる。
「お、おまんこ、です、おまんこですぅ、おまんこ、きもちいいいぃッ……!!!!!」
「ラト、かわいい。かわいいよ。おれの精液、おなかいっぱい食べて」
「ンッ、んおおおぁああああああああああああああおああああぁあぁッ!!!!!!!!!!!」
おまんこの中に、リアトリスの甘い精液が大量にぶちまけられる。
インキュバスの俺には精液は胸焼けするほど甘く感じられるのだ。
「あっ、はぁ……ふあああ…………」
リアトリスが精を放つのとほぼ同時に、俺も快楽の絶頂に達する。
中出しされて、全ての欲望が満たされて行くのを感じる。
身体も心も、全てが幸福で支配される。
俺は愛しくて、嬉しくて、精液が溜まっているであろう腹を、掌で優しく撫でた。
「なあ、リアは、なんでいつも俺の邪魔をするんだよ」
行為が終わり、少し身体を休めたあと、俺はずっと気になっていた事をリアトリスに聞いてみた。
「俺が人間界に行こうとすると、決まって邪魔してくるじゃないか。なんでだよ」
「えー、そんなの、ラトのことが好きだからに決まってるじゃーん」
「…………え!?」
コイツは今、なんて言ったのだろう。
「気付いてなかったのー?もー、鈍感~」
「えっ、だって、リアは誰とでもヤるし……俺なんか面白いオモチャくらいの扱いなんだと思ってた」
「おれは、ラトのことが好きだよ」
「…………っ」
リアトリスは真っ直ぐに俺を見詰めてそう言った。
「おれは、ラトが好きだから、人間なんかとエッチして欲しくないの。おれ以外のヤツとセックスして欲しくないんだよー!」
「リア……」
「ね、だからさ、これからもずっと人間界へなんて行かないでよぅ。セックスがしたいならおれとシよ」
「う……で、でも、子孫を残さなきゃ……インキュバス同士じゃ繁殖は出来ないんだし」
「も~、真面目だな、ラトロケルは」
「ん……!?」
リアトリスにキスをされる。
舌を入れられる事を期待したが、唇はすぐに離された。触れるだけのキスだった。
「ラトのこと、人間界なんか要らないってくらいに、もっともっと、気持ちよくさせたげる」
「あ……」
「自分から人間なんか要らないって、リアだけで良いって、言わせてみせるからね」
「う、ん……」
リアトリスは舌なめずりをしながら、俺と瞳を合わせてそう言った。
甘い期待が胸をよぎる。
俺は、期待してる。楽しみにしてる。
リアトリスから与えられる快楽と、幸福を。
自分でもなんと淫らなことかと思う。
だけど生まれ持ったインキュバスの性質には抗えなかった。
キャンディやチョコレートなんかより甘い快楽に、はやく俺を染め上げて。
それは、怖いことのようにも思えるが、同時にすごく魅力的なことのようにも思えた。
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