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第4話

「俺と晋哉どっちが気持ち良かった⁉」 課長の問い掛けに、体がピクピクと小刻みに痙攣してて、なかなか言葉が出なかった。 「まぁ、あとで聞けばいいか」 課長がポケットからハンカチを取り出すと、それで残滓を綺麗に拭ってくれた。 「このままだと風邪をひくから、場所を変えよう」 晋哉が着ていた上衣を脱いで、そっと肩に掛けてくれた。 「晋哉・・・⁉」 薄暗くて表情までは分からなかったけど、怖いくらい優しい。 「基本、俺は朔也には優しいんだ。お前が鈍感過ぎるんだよ」 軽く頭を小突かれた。 「痛っ、何するんだよ」 晋哉を睨むつもりが何故かクシュンとくしゃみが先に出た。 「ほら、言った矢先からこれだ。明日の徳平様との打ち合わせ、穴を空ける訳にはいかないだろ」 「あぁ」 晋哉が頑張って契約を取ってきてくれた大事なお客様。僕もプランナーとして、きっちり仕事をしないと。 「ほら、肩に掴まって」 晋哉の腕が背中を支えてくれた。 「一人で歩けるから!それより服を返して」 「どうせ脱ぐんだ。2度も3度も手間を掛けられないだろう」 課長の手が、むにゅと双丘を鷲掴みしてきた。 「か、かちょ‼」 思わずすっとんきょうな声が出た僕に、二人とも声を出して笑っていた。 「し、晋哉‼」 慌てふためく僕にはお構い無し。 ふわりと体が宙に舞い、晋哉のがっしりと逞しい二の腕に横に抱っこされていた。 「待て!ここ会社!こんな格好、誰かに見つかったらどうするんだ!おい、聞いてるか⁉」 「聞こえているとしても、俺の耳には聞こえない」 歩きだした晋哉のあとに課長が続き、屋上から移動を始めた。 誰かに見られたらどうしよう。 こんな恥ずかしい格好。 いくら焦ってもどうにもならない。 抗っても、多勢に無勢。しかも、相手は上司だ。 仕方なく上衣を胸元に掻き寄せ、肩を小さく丸め、顔を彼の腕に埋めた。

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