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19一8※

 足が絡み合っていて、身動きが取れない。  眉を顰めてゴソゴソと手足を動かそうとしても、ビクともしない。  大蛇がとぐろを巻いた中心に由宇は居て、締め上げられるほどではないが呼吸が苦しい……そんな嫌な夢を見ていた。 「んっ………」  脳内が覚醒し、ゆっくり瞳を開けていくと簡素な本棚が視界に入る。  右肩を下に、背後から長い手足を駆使してガッチリと技をかけられていた由宇は、これのせいで大蛇の夢を見たのだと起きて早々眉を顰めた。 「またこんな絡み付いてるし……。 先生、起きて。 苦しいよ。 俺、トイレ行きたいから離して」 「………………ん。 どーぞ」 「寝ぼけてるな?」  どうぞ、と言っておきながら、橘の手足に一層の力がこもって余計に苦しくなった。  そうなると、尿意を感じていた由宇の腹部が圧迫されて今にも漏れそうだ。  どうにか抜けられないかと橘の腕を退かそうとするも、副総長様の力は並ではない。  由宇が動けば動くだけ、寝惚けて力を込めてくる悪魔な一面も覗かせて厄介だった。 「………………今何時?」 「今っ? 今はー…、十時三分。 ちなみに朝のね」 「あけおめ」 「えっ! あっ、そうだね! あけましておめでとうございます!」  日付けが変わったその時、すでに由宇の思考はぐにゃぐにゃで何も聞いてはいなかった。  後ろから腰を持たれて高速で突かれ、声なき声を枯らしていると、遠くで「あ、一時過ぎてんじゃん」という橘の何の気無しな言葉を耳にした記憶はある。  ただしそこから意識が途切れ、目覚めた時には体に技をかけられていた。  後頭部からちゅっと音がして、髪にキスされたのだと分かっても、尿意が迫る由宇は照れてなどいられない。 「フッ…元気だな。 ……もうちょい寝るぞ」 「ダラダラするのはいいんだけど、俺トイレ行きたいから離してってば。 漏れそうなんだよっ」 「なんだと?」  由宇の尿意を知るや、すぐさま技を解いて体を起こした橘の瞳が野生化していた。  嫌な予感がして橘から距離を取ったのは、一年以上も前のペンションでの「朝」が否応なしに蘇ってきたからだ。 「あ、あの……先生……、橘風助先生、あのような行為は二度と御免なんですが」 「あれ気持ち良かったろ? やろ」 「やらない! なんで起きてすぐそんなにムラムラ出来んの!?」 「朝勃ちと、お前の匂い」 「真面目に答えなくていい! あっ、ちょっと、嫌だからなっ? 俺はアレ、絶対に嫌だからなっ?」 「シャワー浴びながらはどうよ」 「どうよって何がだ!」  軽々と肩に担がれてバスルームまで運ばれた由宇は、すぐにでもトイレに駆け込めるように精一杯噛み付いてみせたのだが、橘にそれは通用しない。  バスローブはいつもの如くベッド上でくしゃくしゃになっている橘は、早くも全裸である。  そうなると由宇のバスローブを狙う悪魔が目を光らせていて、あっという間に腕を掴まれた。 「あの時はトイレでやっちまったからよくなかったんだよ。 あれはあれで気持ち良かったんだけど、やっぱなー。 外観とかシチュエーションっつーのも大事だよな。 トイレで燃えんのは学校でだけだ」  うんうん、と大袈裟に頷く橘の手のひらが、由宇のバスローブを脱がしにかかる。  それは見事に一瞬の事で、はらりと床にそれが落ちて危機感と尿意が最高潮に達した。 「先生いつの間にか目パッチリだね! おはよ! て事で俺は逃げ……っ」 「逃がすか、このっ。 フッフッ……ノーパン最強」 「あっ…もう! 漏れるって言ってんじゃん!」  はじめから分かっていたけれど、逃げられなかった由宇はあえなくシャワーを頭から浴びせられる。  全裸になった開放感と、頭から被った温かいお湯のせいで思わず出してしまえと恍惚の表情を浮かべた。  だがそれも一瞬の事だった。  悪魔にギュッと性器を握られて、恍惚としかけた由宇の表情は苦悶に歪む。 「お前がそれを言う毎に俺のも反応すんだよ。 残念だったな」 「ぁぁあっ…ちょっ、やば…やば…い…っ」 「まだ出すなよー。 どうせならところてん体験したら?」 「な、に…っ? なにそれ…?」 「一気に奥まで突いてやっから、同時に出せばって事」 「なにそれ、なにそれ、なにそれ、なにそれ、なにそれ……っ」 「あ? ついに壊れたか。 ほんとは精液飛ばしてほしーんだけどな。 まだ無理だろ」  橘は傷痕も厭わず左手で由宇の性器を握り、右手ではほんの数時間前まで貫いていた秘部を弄っている。  シャワーヘッドから少し逸れ、ソープで濡れた指先が慣れた様子で由宇の後孔を攻めた。 「あっ、せんせ、っ…出るってば、マジで、出そ…っ……やめっ、中、押されると…むりだよ…、出る…!」 「そうだった。 前立腺と膀胱は近かったんだっけ。 確か、お隣さん」  語尾と共に、指先が前立腺をぐにゅぐにゅと押している。  やけに饒舌な橘に面食らった。  寝起きの悪い橘を素早く目覚めさせたければ、由宇を犯すよう仕向ければいいのだ。 (起きたばっかの先生に「漏れそう」は禁句だーーっっ! この先二度と、絶対に、言うもんかー!)  ───由宇はそう、心に誓ったが。 「ぅぅぅぅっっ! わざとしてる、だろっ、せんせ、分かってて、してる! ぅぅぅっ…!」 「フッ……俺が手離したらすぐ出ちまいそう?」 「んっ、んっ、でる、っ…出るって言ってんだろ…!」 「我慢しろよ。 あと少しだ」 「やだっ…むり、我慢…っ、むり…っ」 「一気に突っ込むんだから奥まで掻き回しとかねーと。 痛いのは嫌だろ? 裂けたらどうすんだよ」 「嫌…っ、嫌…っ…せんせ…! 早く、っ挿れて…出したいから、挿れて…っ」 「どっちだよ。 出すのか挿れるのか」 「挿れてぇ…っ、おねがい…っ…っ…」 「……そんなにお願いされちゃしょうがねーな」  橘が挿れなければ、由宇の終わりはこない。  その思いでやむなく口走っただけなのに、橘はひどく嬉しそうに笑んで、自身を孔にあてがう。  由宇の背中に覆い被さるようにして、橘はグッと性器の先端を挿れ込んだ。 「おら、出せよ」 「────ッッッ!」  低い声で脅されたと同時に由宇の性器は解放され、奥まで一気に貫かれた。  シャワーに紛れてのところてん疑似体験は、夜まで由宇を不機嫌にし、橘をこれ以上ないほど上機嫌にさせた。

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