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第51話
保から目を逸らさず、口を開く。
「…生意気なペットは嫌いですか?」
いきなり話を変えた僕に、保は驚いたように目を見開く。
「………何……急に……」
「…眞司が僕をお兄さんの玩具にしようとしたという事は…僕はお兄さんのタイプだったりします?」
(眞司とは全然タイプが違うけど………)
「………………………………………」
「このロープ、解いてくれます?…身体に食い込んで痛くて……………」
「………………………………………」
保は、何も言わない。
ただ、先程から眞司の事を忘れたように僕から目を離さない。
「……お兄さん………?」
僕の問いかけに、保はハッとしたように眞司から手を放した。
ベッドの上に倒れた眞司は白眼を剥いて、ペニスの先にバイブの柄を出したまま、腰を振り続けている。
そんな眞司には振り向きもせず保はベッドから下りると、僕の方へと近付いてくる。
「…そうだね……元気のよすぎる玩具は………疲れるね…」
「………そう………だから……眞司を壊そうと……?眞司を壊して自分の元に置こうと………?」
(……そんな事は、させない………!!)
「眞司は壊れませんよ…壊れたようにみえても、壊れずにお兄さんから逃げようとするでしょうね…何度でも…」
(眞司には、会いたい人がいるんだから………)
「……………何が言いたい」
保の声が震えている。
ロープを解く指が震えている。
僕を縛っていたロープが解けて床に落ちる。
僕は椅子から立ち上がり保と対峙する。
震える足を叱咤する。
「お兄さんが欲しいのは、お兄さんに反抗す
る玩具…?…それとも従順な玩具……?」
(声が震えていませんように………)
「………なるほど。自分から進んでボクの玩具になると………………?」
僕は保の瞳を見詰めて微笑んだ。
-それが僕の答。
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