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恋と嘘と現実とー25

僕と寧音が付き合っていた事は皆が知っている。 僕が寧音に振られた事も皆が知っている。 そして今、治夫と寧音が付き合っている事も………。 そんな三人が一緒に帰るなんて、おかしいよな。 皆の、その視線もわかるよ。 でもな、今の治夫は僕と寧音が付き合っていた事は知らないんだ。 僕に関する記憶がないんだから。 …って、皆も治夫が僕の記憶をなくしているなんて知らないんだけどさ。 …しっかし…治夫も、どういうつもりなんだろ。 この雰囲気に気付いてないわけないと思うんだけどな。 …寧音が女子達の間で孤立している事も…。 「隼人!!」 考え事をしながら階段を下りようとしていた僕は、その声に立ち止まり振り向く。 すると、そこには一人の男子がにこやかに笑いながら立って僕を見ている。 「…隼人?」 「…あ、先に行ってて」 同じように立ち止まって僕とその男子を訝しげに見比べていた治夫は、寧音に促されながら階段を下りていった。

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