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恋と嘘と現実とー28

「…同じクラスの友人と居たら、おかしいわけ?これが普通だろ。違うクラスの治夫と一緒に居た今までがおかしいんだよ」 「だって、俺達、親友だったんだろ?」 「…親友だからって、そんなにベタベタ一緒に居ないだろ、普通。それより、寧音と一緒に居てやれよ。お前達、付き合っているんだからさ」 自分が口にした言葉に、自分で傷付く。 だが、僕も、もう限界だ。 治夫と寧音が一緒に居る姿を、目の前でいつまでも見続けているのは…。 「…付き合って…いたのかな…」 「………え?」 「…いや…なんか、実感がなくて。俺が事故にあう前から、俺達、本当に付き合っていたのかな…?」 事故にあう前から…? 治夫の言っている意味がわからない。 治夫と寧音が付き合い始めたのは、入院している時だろ? 事故にあう前からって事はないはずだ。 だってその時、治夫は僕の事が好きで…事故にあう直前まで僕を口説いていたのに…。 「…隼人に関する記憶以外に、事故にあう前から寧音と付き合っていたっていう記憶もないんだ。だからかな…なんか、しっくりこなくて…」 …そうか。 寧音のヤツ、そんな嘘を付いていたのか…。 「…好きな人はいたと思うんだ…なんとなく、だけど。ただ…その相手が寧々だと言われても…なんか、ピンとこなくて…なあ…隼人なら知っているだろ?俺が好きだった人。教えてくれよ。俺、本当に、寧音と付き合っていたのかな…?」 …そんな事、僕に聞くなよ。 本当の事、言えるわけないだろ。 治夫が記憶をなくす前、本当に好きだったのは僕だ、なんて。 「…寧音がそう言うのなら、そうなんだろ」 「……隼人も知らないのか…?」 …やめろ。 そんな、情けない声、出すなよ。 治夫には似合わないだろ。 そんな…途方に暮れたような…そんな声。 聞きたくない。 治夫のそんな声を聞きたくなくて、思わず口走っていた。 「…イヤ、付キ合ッテイタ。ウン。確カニ、二人ハ付キ合ッテイタト思ウヨ」 ………ああ……我ながらなんて嘘が下手なんだ……これじゃ治夫に疑われるじゃないか。 「………本当に?」 ………ほら、やっぱり。 僕のそのぎこちない言葉に、治夫は疑わしそうに僕を見てきた。 …そんな目で見るなよ。

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