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瞳の中、君にー15

「隼人!大丈夫か?」 「…何が?」 階段の途中で、振り向いて答えた隼人は、不思議そうな顔をして俺を見上げた。 「…いや…隼人のクラスに行ったら、隼人は松山と一緒に出ていったと聞いたからさ…」 ―昨日。 手を繋いだまま、一緒に帰った。 そして、隼人の家の前に着くと、そのまま別れた。 その間、一言も喋らなかったが…別に喋らなくてもよかった。 そんな気持ちになったのは、初めてで。 そして今日―。 隼人と松山が揉めているらしいと話を聞いて、即座に隼人を探しに出たが…。 探しだした隼人は何も起こってないような、平気そうな顔をしている。 「…大丈夫か?」 「うん、大丈夫」 そう言って笑った隼人は、何かを吹っ切ったような顔をしていて。 「…本当に?」 「うん…本当に、もう大丈夫だから」 「…そうか」 隼人の穏やかな顔を見て、俺は安心した。 それから黙って、二人、一緒に階段を下りる。 隼人は何か考え事をしているのか…上の空で階段を下りている。 …危ないな。 そう思った俺が、隼人に注意を促そうと口を開いた時。 視界の端に、黒い影が横切った。 考える間もなく、体が動いた。 「…隼人!危ないっ!!」 俺が隼人の体を抱き込むと同時に、ドンとした衝撃が襲い…俺と隼人は階段を転がり落ちた。 転がり落ちる間、俺は必死で隼人の頭を抱え込む。 足や腕、背中などが階段に当たるが…痛いなど感じる暇もなく…俺は隼人を守る事だけに必死だった。

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