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いつか、君の声がー6
-そして、結局。
誰もいない…というか基本、生徒は立ち入り禁止の場所-屋上へ。
目の前の寧音は腕組みをして、勝ち誇ったような顔で僕を見詰めている。
「治夫もやっと目が覚めたみたいね…隼人にはもう会いたくないんですって」
「嘘だ」
「嘘じゃないわよ、その証拠に治夫が退院した時に治夫から連絡あった?なかったでしょう?」
寧音のその言葉に、僕は言い返す事ができず言葉に詰まる。
「オマケに今朝、治夫は隼人を迎えに行かなかったでしょう?…それが答えよ」
事実を言われて言葉に詰まり、何も言えないでいる僕に寧音は畳みかけるように話を続ける。
「分かったでしょう?…もう、治夫は正気に戻ったんだからこれ以上、構わないで」
勝ち誇ったような寧音の顔。
「もう、治夫に近付かないで」
-まるで僕の方から治夫に近付いたような口振り。
(…寧音って…こんな女性だったっけ………?)
…以前の寧音とは別人のような…その姿。
-恋が人を変えるのか…それとも元々、そうだったのか…ただ、僕が見抜けなかっただけなのか…。
彼女の姿を見ただけで胸が高鳴っていた日々が嘘みたいだ。
-だいたい…。
「…僕に会いたくないと治夫が本当に思っているのなら、治夫は直接、僕に言うはずだ」
「……………え」
僕の言葉に、寧音は不意を突かれたというような顔をした。
-その顔を見て、僕は確信する。
(治夫が僕の前に姿を見せない理由は分からないけど)寧音の言っている言葉は出鱈目だと。
「治夫は…そんな重大な事を僕に伝えるのに他人に伝言を頼むような、そんな卑怯な真似はしないはずだから…言うのなら直接、僕に会いに来るはずだから…寧音の言葉は信じない」
僕がそう言いきった直後。
ギリリ………ッ。
寧音が悔しそうに奥歯をかみしめて僕を睨みつけた。
-今まで見た寧音の表情の中で、その顔が1番、恐かった………。
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