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17♡※
散々いじられて熱を持ったところに、もっと熱くて質量のある聖南のものが入ってきた。
俺は未知でしかない恐怖で、目の前の体にしがみつく事しか出来なかった。
目を瞑るなって言われたけど、どうしても入ってくる妙な感覚に閉じずにはいられない。
「葉璃。 俺を見ろって」
「……ん……っ」
「痛くはないだろ?」
「……ぅ、ん……でも……っ」
ほんとにたくさんの時間を掛けて、挿れるべきとこじゃないそこをひたすらいじってくれていたおかげか、痛くはなかった。
あんなデカイ聖南のものなんて受け入れたら、確実に痛みを感じてもいいはずなんだけど……。
でもぐにゅぐにゅと孔を拡げられていく感覚だけは確かにあって、きっとまだ始まってもないのに苦しいのがツラい。
太くて、固くて、俺のものとは比べものにならない質量の、恐怖すら覚えるアレが俺の中に入ってきてるなんて、信じられなかった。
「……もうちょいな」
無意識に聖南を締め付けている事を、彼のツラそうな表情を見てれば分かるんだけど……緩め方なんか知らない俺は聖南にされるがままだ。
孔からお腹までみっちり収まりきってる気がしてるのに「もうちょいな」って……まだ全部じゃないの……?
覆い被さってきた聖南が、俺のほっぺたや目尻に何度もキスをする。ただ俺はそれどころじゃないから、ドキドキするはずのキスさえおざなりだ。
とんでもない熱量のものが俺の中に入ってるせいか、呼吸が浅くなってきてほんとに瞳が開けられなくなってきた。
聖南が腰をズンと動かすごとに、これは俺の身体を真っ二つにしてしまうんじゃないかってあり得ない妄想に震えてしまう。
「……はる、ツラくないか? 痛くない?」
「ん……痛く、ない……っでも……くるしい……」
汗だくになるほどすごく慎重に抜いたり挿れたりしていた聖南が、薄目を開けた俺の瞳を覗き込んでくる。
アイドル様は、こんな時までカッコイイ。
口には出せないけど、俺はこの状況を受け入れようとするのに必死でまったく余裕なんか無いから、とりあえず今はそう思うだけで勘弁してほしい。
「んぐっ……!」
ほんの少し見つめ合ったその時、聖南の動きが変わった。
グッと押し込まれたのを感じて、抱え上げられた俺の足がビクッと痙攣する。
「苦しい、か。そうだよな。締めんなって言っても無理だよな。まだ動けそうにねぇのにもうイキそうなんだけど、俺……どうしよう?」
そう言って苦しげに笑う聖南の額には汗が滲んでいて、いつにない必死さが伝わってきた。
体の表面で感じる聖南の体温と、中にいるものの重量感と存在感は半端じゃなくて、それは聖南が俺の体でも感じてくれてる証拠でもある。
嬉しかった。「やっぱムリ」じゃなくて、心の底から良かったと思った。
佐々木さんとご飯に行った帰りに突然現れた、怒りに満ちた聖南は怖くてたまらなかったし、なんでそんなに怒ってるんだろうと不思議に思った。
今すぐ俺の全部を手に入れるって言われてから、早々にキスをされて流されていると、ふとこの先の展開を予感した。
途端に俺の体を聖南に見せるのが恥ずかしくなった俺は、佐々木さんの告白なんかよりも動揺が走った彼女達の台詞が今も脳裏に流れている。
あんなに綺麗な人達を相手にしてきた聖南が、この俺の貧弱な体に興奮するなんてあるわけないと思った。
どうして。なんで俺なの。聖南にはもっとお似合いな人がいっぱい居るよ。
俺じゃ絶対に聖南を満足させてあげられないよ。
「葉璃、……最初は苦しいだけで気持ちいって思えないかもしんねぇ。俺だけ気持ち良くてごめんな。でも俺は、今日、葉璃の全部が欲しかったんだ」
「……聖南、さん……」
満足させてあげられないと思ってた俺の考えは、違ってたみたいだ。
聖南は体全体で俺を欲してくれている。
思えば俺は、久しぶりに聖南の匂いを嗅いだ。
いつも同じ香水のにおいがする大人な聖南は、やっぱりキスが好きみたいで、ずっと俺の口の中を聖南の舌が動き回っていて苦しかった。
夢中でその舌に応えていると、だんだんと聖南の存在感に慣れてきた俺は、いつの間にか呼吸も安定し始めた。
ジッと動かないでいてくれてる聖南は、俺の初体験が痛い思い出にならないよう気を使ってくれてるのが分かる。
経験はないし知識も浅いけど、俺も男だから分かるよ……動かないまま何分も我慢してるのは相当ツライはずだった。
「……なぁ、葉璃。もう動いてい?」
聖南にも俺の慣れが伝わったのか、お窺いを立てながらもすでにズル、ズル、と動き始めた。
「……んっ……て、もう動いてる……しっ……あっ……あぁっ……」
「あーヤバ。早漏だと思われそう。気持ち良すぎるよ、葉璃」
ゆっくり慎重に動いていた腰付きが徐々に早くなってきて、擦れた孔から何かが垂れて浮いた腰に伝っていくのを感じた。
「あっ……やっ、ん、……そこっ……やだっ……あたるのっ」
「んー? 分かる? あててんの」
「……うぅっ……んん……はぁ、っあぁ……っ……」
聖南が動く度に、背中にビリッと電気が走り抜けるかのような強烈な快感が全身にまわった。
それが何度も何度も執拗に続いて、俺のものはすでに弾けそうなくらいに先走りを溢している。
このいやらしくて恥ずかしい行為をしているのが俺だなんて、まだどこか腑に落ちないと、揺さぶられながら卑屈な思いがよぎる。
それなのに、欲情した聖南の綺麗な瞳を見てしまうと「一回だけ」の決意が揺らいでしまいそうだった。
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