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23♡2※

 さっきバスルームで抱かれてから今の今まで、何かが入ってるみたいな……まだ拡がってるような感覚があったお尻に、聖南の指がそっと触れた。  思わず喉が鳴りそうになったけど、唇を少しだけ開いた色気ムンムンな聖南がキスを仕掛けて来たから、俺はどちらに集中すれば分からなくなる。  一人でドキドキしていると、ゆっくり近付いてくる聖南の綺麗なアイドル顔。  お尻はなでなでされているだけでまだ大丈夫そうだから、下唇を噛み付かれた事の方を優先した。 「……んんっ……んっ……ッッ……ん、んん、んっ……」  聖南は見た目の印象が違っても、このキスは変わらない。  しつこく俺の舌を追い回して、縮こまって逃げようもんなら強く吸われて呼吸すら奪われる。  舌で遊んで、上顎を舐め上げて、上の歯も下の歯も何かを確認するようにチロチロされて、巧みに蠢く聖南の舌使いにあっという間に翻弄された。 「んぁ……んんんっ……んっ……はぁ、あっ……ん……」 「分かる? これが葉璃の味」  キスの合間にそう言われた。  聖南の動きに付いていくのに夢中でそんな余裕も無かった俺は、離れた隙にぺちゃぺちゃと口内の味を確かめてみる。  唇が腫れ上がりそうなほどたっぷりと長いキスをした聖南はご満悦で、舌なめずりまで色っぽい。  改めて味わうと、何だか苦いような変な後味に顔を顰めた。 俺の味って、俺の精液の味って事か……嫌な味だ。  一生知らなくていい事を知ってしまい、俺は生唾を飲み込んで後味を消そうと躍起になっていると、ググッと指が穴に押し入ってくるのが分かった。  痛みは感じずヌルヌルしてたから、聖南はすでにローションを手にしてたのかもしれない。  油断していた体が唐突な侵入にビクン、と強張ってしまう。 「んっ……!」 「さすがにほぐしやすいな。 これならすぐ入りそ」  指が二本、三本と増やされていくのを感じて、それが異物感ばかりではなくなってきている事に俺自身も気付いていた。  ぐちゅぐちゅと内側をかき回す音をこんなに冷静な時に聞いちゃうと、顔から火が出そうなくらい恥ずかしい。  赤ちゃんみたいな格好で聖南に身を委ねて、ビクビクっと背中がしなるところ付近を擦られたら瞳も開けてられなくなる。 「あ、そうそう。 気になってたんだけどさ」 「……んっ……な、に……?」  内壁を擦りながら、普段のように話し掛けてきた聖南に目をやる。  さっきから、あの背中を突き抜けるようなビリビリってなる場所を聖南はわざとズラしている気がして、ちょっと、話どころじゃない。 「眼鏡マネとメシ行ったろ? あの日マジで酒飲んでなかった?」 「へっ??」  な、なんで急にそんな事を聞くんだろう。  すぐにはピンと来なくて、もう一度聖南を見ると真剣な瞳とぶつかった。 「飲んで、ないよ……? なんで? ……あっ……ぁん……っ」 「葉璃の唇が甘くて、なんつーか、アルコールっぽい味したんだよなー」  まず話をするならその指の動きをやめてほしいと目で訴えるも、猛獣と化した聖南にはまったく届かない。  もっと強い刺激を求めてムズムズするお尻を気にしながら、俺はあの日の事を思い出すために記憶を呼び起こす。 「んっ……あ! た、たぶん、……ノンアルコールのカクテル、飲んだからっ……あっ……かな?」 「なんだと?」 「やっ……何、っ……ッッ……」  指を一気に引き抜かれ、物凄い怒りに満ちた顔で聖南は咎めるように俺を見下ろすと、男らしく大きなものが一気に中へと入ってきた。  いつもならジワジワとゆっくり入って来るはずなのに、突然の事に声にならなくて、喉が引き攣りそうだった。 「俺より先に、アイツと? なんで?」 「あっ……あっ……聖南さん、っ……早いっ……あっ、待って……やっ……!」 「ノンアル出すような店に行ったの?」 「……うん、っ……そう! ……あっ、こすらないでっ! ……んっ……んっ……」  食事に行った事もだけど、カクテルを飲んだ事すらこんなに怒られるなんて思わなくて、聖南の怒りの理由が分からない無頓着な俺は怖かった。  責め立てるように俺のいいところを擦り続けてくるのに、自身を触ろうとすると聖南に手を払われる。 「ダメ。 相手が男でも女でも、二人っきりで出掛けるとか、メシ行くとか、マジですんな。 分かった?」 「……なん、で? ……あっ……あぁんっ……き、恭也は、いい?」 「俺とセックスしてんだろ。 他の男の名前出すな」 「うぅ……っ、聖南さん、……あっ……こわい、よ……」  激しく腰を打ち付けてくる勢いと、聖南の本気の瞳が俺のすべてを壊してしまいそうなほどの熱を持っていた。  また、怒られた。  なんで俺は、すぐに聖南を怒らせてしまうような事を口走っちゃうんだろう……。  振り払われたらどうしようと思いながら、恐る恐る背中に腕を回すと聖南はぎゅっと抱き締めてくれた。 「ごめんって。 でもこれは譲れねぇの。 俺はお前が離れてくのが死ぬほど怖えから」 「離れない、……離れないよっ! ……なんで、そんなにっ……あぁっ……」 「葉璃を取られたくない。 誰にも。 他の誰かに、葉璃との時間を、渡したくない」  小さな子どもが母親を恋しがるような台詞に、なぜだか胸が痛くなった。  愛おしいとも思った。  詳しくは分からないけど、少なからず聖南の素性を知る俺は、安心させてあげるために広い背中を夢中でかき抱いた。

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