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明日は聖南の仕事に合わせてレッスンを午後からにしてもらった、などと素敵な話を聞かされれば、帰宅後真っ直ぐベッドへ直行なのは当然の流れであろう。
ただ今日も、お風呂に入りたいとゴネられたので一緒にシャワーを浴び、早々にベッドルームへと舞い戻る。
まるで初めての付き合いに胸を踊らせる中高生のように浮かれている聖南は、以前も似たような事を思ったなという自覚があった。
聖南は成人し、何事も他の男性等よりも多く経験しているのは間違いない。
だがしかし、可愛い恋人に呆れられるほどはしゃぐという経験は、無かった。
「───さーて。 念願だろ、これ」
自分で言うのは何とも恥ずかしいが、眼鏡を掛けた聖南は葉璃の前でドヤ顔を決めてみせた。
すると、全裸でコロンとなっていた葉璃がガバッと上体を起こし、瞳をまん丸にしてまじまじと聖南を見詰めてくる。
「……!! 眼鏡聖南さんっっ」
「もう目が♡じゃん。 そんないい? よく分かんねぇ……」
「カッコいい……カッコいいです……」
「あんま見るな、照れる。 やっぱ外す…」
「だ、だめです! そのままで、お願いします……」
眼鏡を外そうとすると力ずくで止められ、苦笑してしまった。
葉璃が喜ぶのならとドヤ顔を決めてはみたが、眼鏡を掛けただけの聖南には葉璃のうっとりが謎だった。
明らかにテンションの上がっている葉璃のよく分からないフェチに、その体をゆっくりと押し倒しながら不安を吐露する。
「葉璃さぁ、眼鏡好きならあの眼鏡マネとかタイプなんじゃないの」
「いえ、全然。 何とも思わないです」
「ほんとかよ?」
「ほんとです。 眼鏡が好きなのは……聖南さん限定です」
見詰め続けてくる葉璃が、甘えるように聖南の背中に腕を回して抱き寄せてきた。
即答してくれたのは、悪い気はしない。
「ふーん」
「ほんとかよ?」の気持ちを滲ませながらも、葉璃の積極的な誘いに応えないはずもなく。
聖南は舌を出して葉璃にもそれを促すと、照れたように視線を外して従順な舌を出すその素振りに一気にムラムラが高まった。
「ふっ……ん、っ……んっ……」
顔の角度を変える度、鼻先が当たる感触をも気持ちいいと思いつつ、噛み付くようなキスを送る。
無防備な裸体を手のひらでなぞっていき、小さな突起を見付けてからは執拗に人差し指を酷使した。
「……んんっ……ん……ぁっ……ふぁ……っん……っ」
葉璃の舌と存分に遊び、ぷくっと可愛く突起した乳首を舐めようとした聖南だったが、さすがに眼鏡が邪魔である。
そこは挿れた後で、葉璃が悶え始めてから楽しもうと決め、ローションをサイドテーブルから取り出すと葉璃の下半身に三分の一量をどっと垂れ流した。
華奢な体が一瞬ピクッと揺れ、冷たい感触を紛らわせてやるために聖南は両手を使って素肌にローションを馴染ませる。
「葉璃、二回くらいなら明日に響かねぇかな?」
マッサージをするように、下腹部から葉璃の中心部、太もも、臀部、とヌルヌルを塗りたくりながら、それさえ気持ちがいいと控えめに啼いている葉璃へ問い掛けた。
「んっ……。 分かんないよ……」
「そっか。 分かんねぇか」
「うん……あっ……、ぁっ……ね、ねぇ、触って、いい……?」
「……いいよ」
タメ口の葉璃のおねだりは、なぜこうも聖南をときめかせるのか。
つい聖南も葉璃をまじまじと見てしまいながら、キツ過ぎる孔へ指先を入れて解していると、すでに聖南のものは挿入の時を心待ちにしているかのように反り勃っていた。
頬を上気させた葉璃は自身をおずおずと握り、上下に数回擦ったがすぐにやめてしまう。
「聖南さん……そんな見ないで……、……恥ずかしい……」
「やめんなよ」
「だって……見るから……」
「見てぇんだからしょうがねぇじゃん。 恥ずかしいんなら、ほら、俺のも一緒に擦ってみて」
再び葉璃に覆いかぶさると、強引に自身のと葉璃のを一緒くたにして握らせた。
同時に握ると葉璃の小さな掌ではとても指が回らないが、たどたどしく焦れったい刺激に聖南は初めての感覚を覚えた。
「あ、やば……。 待って、先にほぐさせて」
顔を真っ赤に染めて盛大に照れている葉璃に触れられては、もう我慢できない。
射精したいと悶々としているのは葉璃だけではないので、扱くのが恥ずかしいと呟くのならばこのまま焦らしておけばいい。
じわじわと指の本数を増やして抜き差しし、ローションのおかげで一ヶ月ぶりの逢瀬でも聖南を受け入れてくれそうだ。
そろそろいいかと思い指を抜く寸前、葉璃の前立腺をコチョコチョっと擦ると腰を浮かせて悶えている。
「あっ……んあ……やっ……ダメ、……聖南さ、……んんっ……」
自身に触れたいと背中をしならせながら我慢し、どうしたらいいか分からない葉璃の腕が宙を彷徨う。
前立腺への刺激で儚く喘ぐ姿に、ほんの少しだけあったはずの聖南の理性の糸は完全に切れた。
「葉璃うつ伏せなって」
前回は立ちバックで難易度が高過ぎたようなので、今日は普通にバック体位でまずは愛してやろうと舌なめずりした。
温かく、強過ぎる締め付けが待つ魅惑のそこへ、じわじわと性器を押し進めて行く。
『はぁぁ……やっば。 きもちいー……』
襞は最初ほどガチガチではなく、回数を追うごとに聖南を受け入れるために変化しているような滑らかな挿入感だ。
押しつぶされそうなほどの締め付けもたまらない。 毎回、この挿入と同時に果ててしまいそうになる。
「たまんねぇ……」
そう呟きながらすべてを挿れ終えると、聖南よりはるかに小柄な葉璃は、うつ伏せの状態で聖南が入ってくるのを息を詰めて耐えていた。
「はるー、痛くないか?」
「んっ……大丈夫……気持ちいい、かも……」
「気持ちいーんだ。 そっかそっか」
葉璃も序盤から快感を覚え始めてくれて嬉しくなり、時間をかけて根元まで挿れてしまうとしばらく動かずに様子を見た。
だがその間、葉璃がやたらと聖南を振り返ろうと体を捻ろうとしていて、聖南は首を傾げた。
「どした? 痛い?」
「や、……あっ……違っ……聖南さん、……見えないから……、寂し……」
「……っっ♡♡」
そんなにも可愛い事を言われては、聖南は一瞬にしてキュン死してしまう。
繋がったまま葉璃の体を反転させて抱き起こしてやると、よほど寂しかったのかギュッと抱きつかれた。
「こわかった? 後ろからは嫌いなんだな、葉璃は」
「……ん」
小さく、こくん、と頷く葉璃の頭を撫でてやり、可愛くてたまらない彼の唇を舐めた聖南の瞳は葉璃曰くギラついていた。
「もういっそ食べてい? 可愛すぎるわ、マジで」
「……ダメ」
眼鏡を掛けている事を完全に忘れてしまっている聖南は、自然と座位のまま下からグンッと突き上げ始めた。
彼の喉の奥で、高い嬌声が鳴る。
鼓膜から、視界から、下腹部から、抱きついてくる両腕から、葉璃の何から何まで聖南の胸をキュンキュンさせた。
中で待機していた聖南の性器も、早く暴れさせてくれと訴えているかの如く、先走りを溢れさせている。
聖南自身も、それを受け入れている葉璃も、熱くじんわりとした熱が続々と湧き出している事に気付いていた。
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