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 苦しいくらい、聖南のものが張り詰めてる。  怒ってるからか、ちょっとだけ乱暴に打ち付けられてるけど……それが逆に新鮮で、変になりそうなくらい気持ちいい。  初めてだ、こんなに荒々しくされてるの……。 「……あぁっ……ん、ん、ふっ……! あっ……やっ、やだ……やだっ……」  いつも、どれだけ我慢して優しく抱いてくれてたんだろう。  肌がぶつかる音の激しさと、強く抜き差しするせいでほんの少し感じるピリッとした局部の痛み。  でもその激しさが聖南の気持ちを表してるみたいでドキドキする。  ……またヤキモチ焼いてるんだなぁ。  俺が聖南以外の人とこんな事するはずないのに。 「葉璃、誰? 俺よりそっちがいいの?」  ぐんっと奥を突く聖南が怒った顔で、対して瞳を不安そうに揺らしながら俺の唇に吸い付く。  ヤキモチはいいけど、その勘違いだけはほんとにやめてほしい。  俺は、動きを止めてくれない聖南に翻弄されながら、うわ言のように必死に言った。 「ちがっ……違うって……っ……ふっ……んぁっ……言ってる……っ!」  唾液を飲まされるキスの合間に言葉で否定しても、聖南はまだ表情を崩さない。  ローションのせいで互いの体がヌルヌルペタペタしてるから、一際いやらしい音がひっきりなしに耳に入ってくる。  恥ずかしいのに乱暴な手付きにひどく感じてしまって、たまらず顔を背けた。  ……聖南の視線も痛かった。  俺の腰を持って身体を自身の方へ寄せた聖南の吐息が、えっちだ。  ラストスパートをかけるつもりなんだって分かって、俺は聖南の体にしがみついて淫らに啼いた。 「……ふっ……んんッッ……んっ……あ、……やっ……も……もう……だ、め……っ……」 「……っ、葉璃……っ」  聖南が切なく俺を呼んだ直後、荒い呼吸の最中で中がじわっと熱くなったのを感じる。  数回襞を擦られて、挿入ったまま聖南は俺の上にくたりと覆い被さって瞳を見詰めてきた。 「……浮気じゃねぇなら何なんだよ。……俺はどんなに小さな変化も分かるんだからな、葉璃。隠し事してたらマジで怒るよ」  鼻先を俺のにツンとぶつけてきながら、まだムッとしてる聖南にそう言われたけど……。  あれはサプライズなんだから、いくら隠し事はダメって言う聖南でもプレゼントを送りたい張本人に話すわけにいかない。  恭也にももう話してしまったし、春香は「サプライズなんて素敵♡」とウキウキだし、誰よりも乗り気で張り切ってる佐々木さんには多大に協力してもらってるしで、今話してしまったら何もかも無駄になる。  memoryのメンバーにも、サポートの子達にも俺の練習に付き合ってくれててたくさん時間割いてもらってるから、その厚意にも応えなくちゃならない。  聖南、隠し事じゃないよ、サプライズプレゼントなんだよ。  不安にさせてまで内緒にしといていいもんかなって、悩みに悩んで喉まで出掛かって……こらえた。 「……聖南さん、勘違いしてます。会えなくて寂しかったって言われて、それ俺のせいなのに何か……嬉しくなっちゃって……」 「言えないって言ってたじゃん。やましい事あるからじゃねぇの?」 「…………」  ……聖南……嫉妬深い旦那さんみたいだ。  どんなに問い詰められても、どうしても「嫌」って感情が湧いてこないから不思議だ。  聖南に隠し事してるのはほんとだけど、驚いてほしいからサプライズなんであって、今言っちゃうと何もかも終わりだから絶対言わないもん。  少しだけ後ろめたいけど、こうして真っ直ぐ俺を想ってくれてる聖南のためにやってる事だから。  聖南の生まれた日に、大好きな聖南のために踊って、驚きながらも喜ぶ顔が見たいから──。  浮気じゃない、そんなの違う、って俺は何回も言ってるのに、しつこいなぁ……と思わない俺っておかしいのかな。  当日の聖南のビックリした顔を想像すると、俺はついヘラヘラしてしまう。  聖南はまだ怒った顔してるのに、だ。 「……何笑ってんだよ」  案の定、聖南の眉間に皺が寄って、まだ中に挿入ったままのものがクッと質量を増す。  なんで大きくするの、って言いたくても、やっぱり俺は聖南からヤキモチ焼かれるの嫌いじゃない。 「いや、……ごめん、ごめんなさい。 ……嬉しくて。聖南さん余裕ないの可愛くて……」 「かわいーだぁ? 怒るぞ、マジで」 「なっ、怒んないでくださいよっ。恥ずかしいから、言えないって言ったんです。……だって、照れるじゃないですか」  誤魔化すのが苦手な俺も、だんだん饒舌になってきた。  聖南が不安に思う事はないよって伝えてあげたら、サプライズにも影響出ないと信じて狼狽えた瞳を見詰め返す。  しばらくジーッと見詰め合って、長い沈黙の後ゆっくり優しく俺を抱き締めてくれた。 「……それだけ? マジでそれだけ? 浮気じゃねぇの?」 「違います! ほんとにその疑いだけは嫌だ!」 「……安心できねぇ。まだ葉璃が足りねぇよ」 「えっ、待って、俺明日も撮影あるから……!」 「あと一回付き合って。そしたらどんなワガママも聞いてやる」  そんな……!  いつの間に獣スイッチ入ったんだってくらいの切り替えの速さで、聖南はそう言うなりまたストロークを開始して俺を喘がせた。  抑えきれない声で疲労を増幅させてしまうから、聖南の肩を嚙んで凄まじい快楽を逃がしていく。  さっきと同じように、ちょっと荒く触れてくる聖南の掌に猛烈に感じて、全身が小さく震えた。  と、とりあえず、疑いは晴れたの……かな……?

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