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 俺の乙女思考を喜んでくれたのは良かったけど、半裸の聖南は目に毒だからちゃんとバスローブ着てほしい。  照れてしまうから顔なんてとても見られないし、引き締まった肉体美も恥ずかしくなって見れないし、一体どこを見てたらいいんだろって視線を彷徨わせてたら、聖南が飲んでるものと同じミネラルウォーターを手渡してくれた。 「ん、葉璃も水飲んで。ちゃんとメシ食った?」  今日は口移しじゃないんだ……って、何考えてんだろ、俺……。  あれが普通だと思っちゃいけない。 「う、うん、食べましたよ。今日もみんなに驚かれました」 「あはは……! ご飯何杯いったの?」 「大四杯。お肉もたくさん頂きました。俺が焼きますって言ったんですけど、トングを渡してくれなくて……」 「大を四杯!? それでなんでお腹ぺったんこなんだよ、すげぇな。ってか、みんな葉璃がかわいくてしょうがないんだろうな」  俺が一番後輩なんだから、今日は率先してみんなにお肉焼いてあげようって張り切ってたのに、とうとう一回もトングに触らせてもらえなかった。  ご飯いる?とお兄さん達から何度も聞かれて、計四杯になっただけだ。  こうして聖南も驚くし、みんなも面白がって食べさせてくるけど……実はまだ満腹ではない。 「いえ、そんな……。俺が夢中で食べてたから、渡しづらかっただけですよ」 「そのもぐもぐ葉璃ちゃん見たかったわー。ま、明日もあるしな。楽しみは最終日に取っとくか」 「……明日? あ、あぁ、明日はアリーナでしたっけ! 恭也から聞きましたよ、一万人規模だって」 「そう。葉璃達の初舞台は三万人規模のドームだからな、さらにデカい箱になる。俺の事も見ててほしいけど、明日はイメトレもしっかりな」  ベッドに横たわった聖南の隣に落ち着くと、きゅっと優しく抱き締めてくれた。  そうだ、聖南と話してるとついつい蚊帳の外にやってしまう。  俺は昨日デビューした『ETOILEのハル』だった。  CROWNのツアー同行が初仕事なんだから、聖南にのぼせ上がってる暇なんかない。  年明けからずっと、レッスンと平行してこのツアー同行に向けて照準を合わせてきた。  ETOILEとして、CROWNのライブを盛り上げなきゃいけない大切な任務があるから、明日はのぼせてないでちゃんとイメトレに励もう。 「わ、分かりました……! がんばります!」 「あ〜でもやっぱ俺だけ見てろよ」  肩肘を付いて顔を寄せてきた聖南が、昨日の甘えん坊を垣間見せる。  イメトレもしっかりな、と言っておきながら、聖南は自分の事を見てほしいだなんて可愛いワガママを言った。 「どっちですかっ」 「俺だけ、見てろ」 「…………っっ♡♡♡」  甘えん坊だな、と油断して笑っていたら、真剣な表情の聖南にこんな至近距離であの手銃を使われた。  俺のハートは、……見事に撃ち抜かれた。  何か分かんないけど、これすごい好き……! カッコいい!  こ、こんなの反則だよ……!! 「やべぇ!! かわいー! なになに、今日も葉璃はかわいーを垂れ流す日だな? 照れてんの? 俺のこと大好きって顔してるぞ♡」 「うぅっ……」 「……なっ、葉璃、もう寝よ。抱いてしまいそうになる」  乾きそうなくらい目を見開いて固まってたら、聖南がそそくさと薄手の掛け布団で俺の体を覆った。  昨日もしてないし、聖南がしたいって思ってくれるんなら俺は拒まないのに。  むしろ、今日は……したい、かも……。 「……い、いいですよ?」 「ダメ。我慢する。明日のライブが終わってからだ」 「…………??」 「寝よ寝よ。葉璃、今日も腕枕して」 「はい……」  な、なんで???  『ライブ後の俺と愛し合う覚悟して来い』って、聖南そう言わなかったっけ?  昨日も今日も、こうしてる今ってライブ後じゃないの??  聖南はバスローブを着直すと、俺の腕にこてんと頭を乗せて体を密着させてくる。  反応、してるのに……。 「……おやすみ、葉璃……」 「……おやすみなさい。……聖南さん」  俺と一緒に寝てて、エッチしない日なんて無かった。  ライブ後の聖南は異常に興奮してたから、昨日も、そして今日もちょっとだけ期待してたのに……何でしないんだろう。  エッチするだけが愛を伝える手段じゃない、聖南は昨日そう言ってたけど、こんなに固くしといて我慢……してるの? 「……葉璃、トントンして」 「あ、うん、ごめんなさい」  瞳を瞑ったままの聖南におねだりされて、俺はその広い背中を優しくトントンしてあげた。  すると、昨日と同じでほんの数分も経たないうちから規則正しい寝息が聞こえてくる。  モヤモヤしながら聖南の髪に触れて、大きな体をぎゅっと抱き締めた。  寝てるはずなのに、無意識に聖南も抱き締め返してくれて俺もゆっくり瞳を瞑る。 「疲れてるんだよ、ね……?」  リハーサルも含めてあれだけの運動量をこなした後だけに、疲労困憊なのかもしれないと意識を変えた。  聖南が抱き合って眠ってるのは俺だけなんだから、ぐるぐるしたり不安に思うことなんかない。 「覚悟、してきたんだけどなぁ……」  明日の公演が終わったら、翌日の早朝の新幹線で俺は帰らなきゃいけないはず。  聖南も次の会場への移動があるだろうし、次に会えるのは来週になってしまうから、ゆっくりできるのは明日までなのに……。  俺、いつからこんなに聖南とエッチしたいって悶々とするようになっちゃったんだろ。  たった二日しなかっただけで不安になるなんて、よくないよね。  ……と自分を納得させようとしても、大好きな人……ましてやCROWNのセナを目の当たりにした後だった俺は、この日なかなか眠りに付けなかった。

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