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Ⅷ ──十月某日──※

8♡〜倉田ちゃんはヒヨコちゃん〜 視界が真っ暗だ。 呼吸もなかなか整わない。 指先も、腕も、足も、至るところが小刻みに震えてる。 聖南はまだ中に入ってるけど構わずに、俺は全身から力が抜けてベッドに体重を預けた。 あまりに我慢し過ぎてたから、イった時、違うものが一緒に漏れちゃったかと思った。 ───気持ち良かった。 今まで体感したの事ない、強烈な射精感だった。 「すげ、顎まで飛んでる」 「………ん……」 ペロ、と俺の顎を舐めた聖南が、荒く呼吸する唇に噛み付いてきた。 大きく口を開かされて、聖南の元気な舌を受け入れていると、またゆるやかに腰を動かし始めている。 う、嘘…っ! もう二回目、…っ? 「ん、むっ……ん、待って……休憩…させて……」 「無理だな」 「……っ? …ま、まだ、…息が……っ」 「きついなら寝バックやろ。 背中触ってやる」 今日はどうしたのってくらい、聖南が性急だ。 繋がったままコロンと体を反転させられた俺は、枕にしがみついてとにかく呼吸を整える事に専念する。 まだ下半身が疼いてて敏感なのに、聖南はゆるゆると抜き差ししながら背中にたくさんキスをしていた。 バックが好きじゃない俺を安心させてくれようとしていて、それはもう、たくさん。 チュッ、チュッ、って背後から聞こえて、その啄む音にも聖南の唇の温度にもすごく興奮する。 腰に引っかかったままのナース服が邪魔だったけど、脱がしてくれる様子はまったくなかった。 キスを落とした背中をさらさらと撫でてた聖南は、ナース服の下に手のひらを忍ばせて腰もさらりと撫で回す。 …どうしよう…またドキドキしてきた…。 「なぁ、さっきイったのどんな感じだった? 気持ち良かった?」 「んっ……っ」 背中に覆い被さってきた聖南が、俺の耳元で囁く。 俺が聖南の声に弱いって知ってて、わざとそうやって甘い声を出すんだ。 ドキドキしてる心臓がもっと早く脈打ち、それさえ腰を疼かせるほど、思わず耳を塞ぎたくなっちゃうくらい、とっても甘い声。 ……気持ち良かったに決まってる。 聖南ってば、そんな事、聞かなくても分かってるくせに…っ。 「倉田ちゃん、聞いてる?」 「ん、っ…っ……だめ、耳…やめっ…」 「そうだ。 俺明後日から出張なんだけど」 「……えっ? え、? なに……っ?」 聖南が言ってる出張って、泊まりロケの事、かな…? なんで急にそんな…? 振り返った俺の唇を食んだ聖南が眼鏡を外し、それをサイドテーブルに置いてニヤリと笑っている。 「一人同伴付けていいらしいんだよ。 ナースの中であみだくじやった結果、倉田ちゃんじゃない子と行くかもしんない」 「え…………っ?」 わ、忘れてた…! まだイメプレが継続中だったとは思わなくて、ぐん、と奥を突かれた衝撃も相まって一瞬頭が働かなかった。 「そのあみだくじに倉田ちゃんは参加したの?」 「………っしてない、です…」 「そうなんだ。 あいつら分かりやすいな。 他にヤな事されてない?」 「ううん、されてない…と思う、けど……あぁっ」 「いっそバラしちまうか。 それか、倉田ちゃん除け者にするような奴らは全員クビにするか」 「えぇっ? だ、だめ、俺だけじゃ仕事…回んないです…!」 「だよなぁ。 でも考えてみろよ。 うちは個人医院なのに非常勤と親父合わせて五人も医師が居るんだから、何とかなるんじゃね? 倉田ちゃんは受付に居てくれたらそれでいい」 「そんな…っ、だめです、絶対、だめですよ…っ」 俺は他のナース達からやっかみを受けてるのか…。 それでも、全員クビにするなんて発言は、雇う側の私情で簡単に言っちゃいけないと思う。 ……って、イメプレの世界の設定なんだから、そんなに真剣に考える事もないのかもしれないけど。 二回目なのに強度が全然変わらない聖南のものが、俺のお尻を何度も出入りしている。 だめだ、また…会話する余裕無くなっちゃう…。 「ナース同士仲良くやれとは言わないけどさ、そういう分かりやすい仲間外れ的なの俺キライなんだよねー。 俺の恋人がそんな目にあってて見過ごすはずないだろ」 「ふっ……っ、んっ、んっ……あっ…」 「ナースは倉田ちゃん以外全員解雇な。 その代わりに真面目そうな理学療法士入れて治療には支障が出ねぇようにする。 電子カルテ一本にして俺らがカルテ管理もしたらいい。 何もかも俺のパソコンでシステムを一貫する。 どうよ」 「ちょっ、…あっ……なに、言ってるかさっぱり……っ」 「ふっ……そうだった。 倉田ちゃんはまだ新米だったな。 かわいーヒヨコちゃん」 「ひ、ひよこ…っ? 何を言って…っ」 背後で聖南が微笑んだ気配がする。 さっきから怒った顔しか見てないから、あの優しくて綺麗な笑顔を見たいって思ったのに俺は振り返る事も出来なかった。 会話をしながらでも聖南がガンガン腰を振って、俺のいいとこをたくさん擦ってくるからだ。 「あっ……んん、っ…んっ……!」 「日向先生もう二回目出したいんだけどいい? ヒヨコちゃん」 「んぁぁっ、あっ…なに、…っ?」 「あれ、倉田ちゃん飛んでんの? ……あぁ、またイったのか。 …締め過ぎ…」 聖南が俺の耳元でカッコいい声聞かせるから、俺はあっという間に二回目をベッドに放ってしまっていた。 枕を握り締めてる手のひらが痛い。 掴まれてる腰も痛いし、聖南が背中にもいっぱい吸い付いてたからそれもチクチクして、──痛い。

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