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第14話

「一遺伝子雑種の応用は3つあります。 1つ目は、不完全優性。 2つ目は、致死遺伝。 3つ目は、複対立遺伝です。」 一夜経ってもぼんやりする頭で授業を進める。 生徒達には申し訳ないが、頭が上手く回らない。 思考回路のどこかがショートしてしまったようだ。 「不完全優性とは、遺伝子同士の間に優劣がない事を言います。 メンデルの優性の法則に従ってない、不完全な優性なので不完全優性です。 例えば、赤色遺伝子Aと白色遺伝子aの交配でAa…」 「あ、雨…」 生徒がぽつり零した言葉に窓の外に視線を移すとぽつぽつと窓を叩きはじめた。 「あ、窓閉めてください…」  「傘持ってきてねぇー」 「置き傘パクられないかな。」 「あ…、」 あっという間に雨量を多くする水滴に相川も窓を閉める。 窓を閉めていると、グラウンドで体育の授業をしていたらしい生徒達が慌てて校舎陰に逃げてくるのが見えた。 キラキラ輝くその髪色。 その生徒は濡れるのも構わずこちらを見上げていた。 視線が絡む。 どんどんシミが濃くなるジャージにその生徒を呼ぶ女の子の声が相川に迄届くが、その生徒には聞こえないのか一向に動こうとはせず、ただじっと、こちらを見ていた。 「先生?」 「あ、すみません。 続けます…。」 施錠をしてさえも突き刺さる視線を振り払う様に授業を再開するが、頭の中はあの生徒でいっぱいだった。

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