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「次のタイミングっていうかさ、それ待つよりこっちからタイミング作った方が早いと思う」 「だね、その方が手っ取り早いかも」 「作る…?」 「あぁ。例えば……誘うとか」 「誘う………」 誘うってどうやるの? 「エッチしよー!」って抱きついてみる? いや、それだと呆れられて終わりそう。 「お帰りなさい!ご飯?お風呂?それともわ・た・し?」っていうのも、そもそも一緒に帰ってるから言えないし… うーんどうすればいいんだろう…経験ないから想像つかないや。 「誘うねぇ。 クスッ、アキはレイヤ誘ったことある?」 「えっ…と、い、一回だけ……」 「そうなの!? どうやって!?」 「ぁ……と…も、〝もっとレイヤが欲しい〟って…」 「もっと? その前に何かしてたの?」 「キス、してたかな……っ」 やっと治ってきたのに、またボボボッとアキの顔が赤くなり始める。 「へぇ。で? その後は?」 「え?」 「まさかそれだけで抱かれましたなんて、ないよねぇ?」 「ん、ハル?」 慌てて逆隣を見ると、黒い笑顔のままニコッと笑ってて。 「何て言ったの? アーキっ」 「っ!! お、〝俺をレイヤでいっぱいにして、あたためて〟って、言いましたぁ……」 「ん。よろしい」 「ア、アキ」 じんわり涙を溜めながら必死に話すのを、ギュッっと抱きしめた。 あはは、なーんとなく分かってきたかも。 アキもあの笑顔には逆らえないんだね。流石お兄さん。 「いっぱいにしてあたためて、かぁ。 凄いね、よくそんな言葉浮かんだね」 「だ、だってクリスマスだったし…ツリーのプレゼント貰って、嬉しくて……」 「そっかクリスマスの時だったんだ。納得」 (いっぱいにして、あたためて…) 〝おれをカズマでいっぱいにして、あたためて……?〟 「ーーっ!」 「? イロハ、どうした?」 「顔赤くなってるよ? 言うの想像した?」 「ぁ、や!別に…っ」 待って、今更だけどなんか凄く恥ずかしくなってきたかも!! おれ、こんなこと言えるの!? い、いや何弱気になってんの、言うんだよ! そうそう!言うんだ!! 「…………そう言えば、さ」 「なにハル?」 「僕相談された時から思ってたんだけど、もしかしたらイロハ〝だから〟カズマはエッチしないのかもなぁって」 「…? どういうこと?」 アキから離れて、ハルの方を向いた。 「カズマとイロハだったら、多分エッチする時はイロハが女性役…抱かれる方だと思うんだよね。それがイロハは嫌なんじゃないかってカズマは思ってるのかもって」 「っ、ぁ………」 ついこの前決着がついた、丸雛の件。 でも、カズマはおれが幼い頃からずっと性別で悩み続けてたのを知ってる。 だからもしかしたら、男なのに女の様に抱かれるのに、またおれが違和感を覚えるんじゃないかって…思ってる……? 折角折り合いついたのに、俺の所為でまた悩ませてしまったら…って、考えてる? ……おれを抱くことを、恐れてる…………? 「成る程…一理あるかもな」 「だよね、もしかしたらだけどそうなのかなってn」 「ーー馬っ鹿じゃないの?」 「「っ、イ…ロハ……?」」 馬鹿じゃないの? なにそれ。 は、嘘でしょ今更? もしそんなくだらない理由だったら、思いっきり叩いてやろう。 「わぁ…なんか、2人に相談して良かったかも」 その視点は、全然考えてなかった。 「ありがとっ、2人とも」 「全然いいよ。イロハなら絶対大丈夫、こんな可愛い子に想われてるのに手出さないなんてありえないから」 「上手く進むといいな、イロハ」 「うんっ!ぁ、あのね、おれそろそろ……」 「クスクスッ、帰る? カズマに会いたいって顔してる」 「えぇ!本当に…?」 「ふふ。アキもレイヤのとこ行く? 僕今日1人でもいいよ?」 「はっ!? いや、俺は別に……っ」 「もー素直じゃない。アキも可愛い!」 「アキ可愛いー!」 「おゎっ!」 ハルと一緒にアキへ抱きついて、そのまま3人で後ろにポスンッと倒れる。 それから少しだけじゃれ合って遊んで 夜ごはんの時間の少し前に、部屋を後にした。

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