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sideハル: それは、突然のお誘い
「え、別荘……?」
1学期を慌ただしく過ごしながら体育大会を無事成功させ、決算に向け動いていた最中。
「そう。前々からレイヤよく書類持ち帰ってたじゃん? あれ夏休み中の仕事0にしたくて、前倒しでしてたんだってさ。
それで、今年の夏休み龍ヶ崎の別荘借りて過ごそうって話されて」
「それ、アキとふたりでって意味じゃないの?」
「んーん、さっきイロハとカズマも誘われてた」
さっき…僕が書類出しに生徒会室空けたタイミングで話があったんだろうか。
そのまま下校時刻になったから「部屋帰ったらお前から話しとけ」って言われたとか?
(どういう…ことだ……?)
別に誘わなくてもふたりで過ごせばいいじゃん。
なに? 気恥ずかしいの? あんなにラブラブなのに??
はぁぁもう…なるべく2人でいれるよう気遣ってるのにこっちの気も知らないで……!
「ハ、ハル……?」
「アキ、レイヤはみんなで行きたいって言ってるの?」
「ぁ、うん、向こうから言ってた。誘おうぜって」
「向こうから?
それで、僕とイロハたちと…あと月森先輩とか?」
「そう。でも先輩はお盆に月森の大事な行事があるから、その期間は実家帰るって。それ以外の日は大丈夫らしい。
タイラは今回休み。帰って自分のとこの会社の勉強するんだって。なんか、最近頑張ってるよなぁ」
「そう…だね……」
んん、待って……?
レイヤからみんなを誘うって言った?
あの俺様は一体なにを考えてるの??
思考回路がよめなくて頭がこんがらがる。
なんでだ…本当 なんで……
(でもまぁ、とりあえず)
「僕は 不参加dーー」
「あ、ヨウダイ先生も来るって!」
「…………は」
え、先生が? なんで。
「レイヤが聞いたら返事くれたらしい。
だからハルも安心して参加できるってさ」
…そういえば、あの人は昔レイヤの遊び相手をしてたことがあるって言ってた。
あんまり深掘りしなかったけど……なに? 今でもこういう連絡取り合うくらい仲良かったの!?
っというか仕事は!? 名医なんでしょあの人、なんで参加できるの!?
「ハル? ハル……
俺、ハルと一緒に行きたいなぁ」
「っ、」
「すぐそこが海らしいんだ!
海見るのも初めてだし、磯の匂い嗅ぎながらスイカ割りしたり手持ち花火したりって…そういうの、ハルともやりたいな。
だめ……?」
「くっ……!」
ここで来た、片割れの甘えん坊攻撃。
最近やっと自分の意見を言えるようになってきたアキは、はっきり言って可愛いすぎる。
でも、それとこれとは違くない!?
せっかくレイヤと長く過ごせる貴重な機会なのに、台無しにするのか!?
いや、けどもう他に参加者がいる時点で…2人ではないけど……
でもでも、人数少ないほうがきっと2人きりになるチャンスはあるし!
だから、えぇっと………
「…………行き、ます……」
「いよっし!やったー!!」
あぁ、だめだ。ほんと反則……
これは勝てない。先生のことも出されて言い訳もなにも浮かばないし…
(というか、なんであの人は参加するんだ)
謎すぎ。おかげで僕も行かざるを得なくなったじゃん。
どうしてくれるの本当…次の検診で思いっきり深掘りしてやる!
……けど1番は、お願いが言えたアキが嬉しくて 叶えてやらなきゃと思って。
(僕…とことんアキに弱いんだなぁ)
「ありがとうー!」と抱きついてくるのを受け止めながら、突然決まった予定までにどう生徒会の仕事を終わらせるか脳裏で計算した。
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