8 / 2160
ー友情ー8
その看護師と医者の部屋にはそれぞれの机があってベッドもある部屋だ。
当直の際にはこの部屋の泊まってベッドで仮眠とかも出来るようになっていた。またシャワールームやロッカルームも完備されている。要はマンションの一室みたいな感じでもある。
「な、なー……もう、昼だし、飯にしねぇ?」
「あ、ああー、もう、そんな時間だったのか!?」
そう望は驚いたように言うと自分愛用の腕時計に視線を向けるのだ。確かに和也の言う通り時計はお昼を指していた。
「ああ、確かに、そうみたいだな」
そう答えると望は椅子から立ち上がる。
この病院には職員用の食堂がある。きっと男性ばかりの職場だからというのと、やはり忙しくご飯なんか作っている暇はない職員達が多いからであろう。だから職員用に食堂が完備されている。
その途中、望は和也に気になっている事を聞いてみる事にしたようだ。
「なぁ、和也……俺って、そんなに女っぽいか?」
「え? あ、うーん……」
その望からの質問に少し考える。
それを本当に望に言っていいのか、というのを悩むところだからだ。だってさっき望はその言葉を口にされただけで怒っていたのだから余計になのかもしれない。流石の和也もそこには気付いていたのだから。それにきっとその言葉というのは望からしてみたら地雷だと思うのに、何で和也に聞いて来ているのであろうか。でも逆に言えば、その事に関して望から自ら問うて来ているのだから、それについて望は怒らない事を信じ、
「あー……その事なぁ? 確かに俺的にも言いにくい所だったんだけど、まぁ、あー、あおうだなぁ……少なくとも俺はそう思うかな?」
そう素直にストレートには言うものの、やはりこう言いにくそうに答える和也。
「あー……やっぱり、そうなんだよな?」
半ば仕方が無いと思ったのか諦め気味に答える望。
ある意味、和也の答え方で合っていたのかもしれない。そこに和也はホッと胸を下ろすのだ。
だって望からその事について問うて来たのだから逆に怒られるのは人間的にもおかしいところだろう。そこで怒るんなら最初から聞いてくるな! とも答える側の人間はそうなってしまうのだから。
二人は会話しながら食堂へと向かうとカウンターからご飯等を受け取りお盆へと置くと空いてる席へと座る
この食堂は本当に広い。
きっとここの病院では沢山の職員が働いているからだ。医者や看護師は勿論、ここで働いてくれている清掃員や薬剤師等もここで食事をする事だって出来るようになっているからなのかもしれない。 要はここの病院で働いているスタッフがこの食堂で過ごせるようになっているからだ。
今の時間はお昼丁度位で外来の方はまだ終わっていないのか混んでる時間帯に比べたら人が少ないようにも思える。
この食堂は入口側には窓はないのだけど入って反対側の方には病院の中庭を見渡せるカウンター席がある。その中庭には木々や草や花が植えてあって、緑がある空間となっているのだから癒しの空間にもなるという事だろう。
「ん? まだ、さっき、あの消防士が言っていた事気にしてんのか?」
和也はその事について気になったらしく望に問うのだ。
「あ、ああ……まぁ、ちょっとな。だってさ、俺を見てあんな事言うんだぜ! 普通初めて会う人に向かって言える言葉だと思うか?」
「もしかして、あの患者さん……望に気があるんじゃねぇの?」
和也は半分ふざけたように言っているようなのだけど半分は本気だ。その事に気付いてしまったのは、和也も望の事を好いているからなのかもしれない。
いつの頃からか和也は望の事が好きになっていた。
しかし相手は男性だ。これが女性であれば和也の性格からすると直ぐにでも告白していたのかもしれないのだが、やはり好きになった相手というのは男性。そう簡単には告白出来ない事は分かっている。だから和也は望の事が好きでも告白出来ないでいた。
それに、もし和也が望に告白でもしたら今の関係が崩れてしまうかもしれない。
そうだから和也は望に告白出来ないでいるのであろう。
そんな中、和也は食事を口にしながら望の横顔を軽く覗き込む。
ともだちにシェアしよう!

