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ー友情ー56
和也は望が座っている椅子に近付いて捕まえようとするのだが、望は椅子を使って交わす。
「遠慮なんかしなくていいからさぁ……腰、痛いんだろ?」
「ま、確かに痛いは痛いけどさ」
「明日に差し支えるぞ」
「じゃあ、痛め止めの薬でいいから……腰揉んでもらうよりそっちの方が効きも早いしな」
「はい……」
今まで二人でふざけあっていたのだが、望のその言葉でそのやりとりは終止符が打たれる。 和也の方はその望の言葉で薬を取りに行ってくれた事にひと息吐く望。
「はいよ!」
「ああ」
和也から薬と水を受け取るとそれを口にするのだ。
そして今日一日、本当に何もなかったようで、そのまま一日を終えるのだった。
次の日、面会時間が開始された時刻。 和也と望がいつものように回診で病棟内を回っていると、雄介の病室の前で一人佇む男性がいた。
「アイツって!?」
と二人同時に声を上げ、視線を合わせる和也と望。
その男は雄介の病室の前に立ち雄介の病室へと入ろうとしているようなのだが、なかなか中へと入る気配はないように見える。 たまにスライドドアのノブに手をかけ病室の中に入ろうとはしているのだが、そのドアノブを離しては頭を振ったりしているのだ。
和也と望はその人物の存在に気付くと、そっとその男の前へと近付き、
「桜井さんのお見舞いに来たんでしょう? 中に入らないんですか?」
和也がその男性に声を掛けると、その男はそっから立ち去ろうとしたのだが、その男性の手首を和也がしっかりと掴みその男性は逃げる事が出来なかったようだ。 そこで和也は、
「きっと、桜井さんは貴方が来てくれる事を待っていたと思いますよ。 ずっと、桜井さんは貴方の事、気にしてましたからね。 貴方が一人で病室に入れないのなら、俺達も一緒に入って上げますから……」
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