202 / 2160

ー天災ー23

 それでも雄介は待ち合わせ時間を越えているのに望と約束している展望レストランへと向かう。  早足で歩いているものの思った以上に足取りは重い。 体は普通に動いているつもりなんだろうが精神的に体が思うように動いていないという事なのであろう。  やっとの事で辿り着いた展望レストランの前なのだが望との約束の時間から一時間は超えていた。  その間、望からメールはあったのだが、とりあえず心配しているのだと思い『必ず行くし、そこで待っておって……』と最初で最後のメールだけを入れておいた。 「ここの最上階で待ち合わせやったな……」  雄介は入口から入ると最上階直通のエレベーターへと乗り込む。  雄介はまだその間にも考える事はあった。 たった数分なのかもしれないのだが、それでも最後の足掻きとばかりに望になんて言おうかと考えているようだ。  それでもいい考えは浮かばず窓から見える景色を眺めながら息を吐く。  ガラス張りのエレベーターから見える景色。  東京の街並みはネオン輝き、夜だというのに明るくさせていた。  誰かがこの景色を見てまるで宝石箱をひっくり返したようなもんだと言っていたが、まさにその状態だと思う。  だが今の雄介には外を眺めているという余裕はない。  昨日あんな事さえなければ今日の望との待ち合わせに遅刻せずに来れたと思う。 だが今日の雄介は今回の食事会を楽しめる訳がない。 だけど前々から約束していたのだから今は向かっているという事なのであろう。

ともだちにシェアしよう!