228 / 2160
ー天災ー49
ヘリコプターはプロペラ音をさせてゆっくりとゆっくりと屋上へと降りて来る。
そのゆっくりと降りて来る最中にヘリコプターの扉が開かれるのだ。
今までプロペラ音と風圧と巻き上げていたヘリコプターだったのだが、それが止むと同時に望は手を顔へと翳しそのヘリコプターの扉を見つめる。
そう変な期待があったからだったのかもしれない。 もしかしたらこのヘリには雄介が乗っているかもしれないと思ってしまったからであろう。
そしてそれと同時に望はある人物の姿を捉えるのだった。
「あ……」
「……望!?」
望の目の前に現れたのは何も望には告げずに別れた雄介の姿だ。
まさか二人共ここで会えるとは思ってない事だ。
確かに雄介の方は東京で災害があって行くとは知っていたのだが、まさかまたこの春坂に降り立つとは思っていなかったのかもしれない。 望の方だってまさか雄介がこにヘリの乗ってるとは思っていなかった事だ。
だが久しぶりの再会だった筈なのに何故だか、その言葉の後は沈黙が流れてしまっている。
そしてその沈黙を破ったのは望の方だ。
望は雄介の方へと向かい拳を握り締め顔を俯かせたままの状態で雄介へと近付くと雄介の目の前で望は雄介の事を見上げる。
そうする事で視線が自然とぶつかり合う二人。
「……望?」
雄介がそう望に声を掛けるか掛けないかの瞬間に皮膚に何かがぶつかる音が響き渡り、痛みも走ったようだ。
雄介からしてみたら今一瞬の出来事は何が起こったのかさえ分かっていないようにも思える。
雄介がフッと気付くと頰が痛かったのか片手で頰を押さえていた。 人間というのは痛みを感じると無意識にそこを押さえてしまうもんなのだ。
その光景を和也は見てしまっていた。 何気に和也の視界に入って来てしまったのだから仕方がないのだが、まぁ、この二人の事情を知っている和也からしてみると「仕方ないか……」というところだろう。 そして和也は二人の事を気にしながらもヘリから出される物質を病院内へと運び続ける。
ともだちにシェアしよう!

