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ー空間ー217

 会話が無くなった室内に雄介がガスコンロに火を点ける音だけが響き渡る。  そして雄介は火を点けると望の前へと腰を下ろし再び二人の視線がぶつかってしまった。  だが今日の二人は会話も弾まなければ雄介が望にちょっかいを出して来る事もない。  望は頭の中で何か会話がないかと探り始めるのだが思考を雄介ではなく違う方へと向けたその途端、望は、 「あー!」  望は何かを思い出したのであろう。 その途端に部屋内に響き渡るような大声をあげる。 その望の大声に雄介がビックリしたような表情で望の事を見つめていた。 「……って急になんやねん! 大きな声出してー」  望は急に怒ったような表情になると雄介の事を真剣な瞳で見つめ指を指す。 「お前さ……今すぐに病院に行けっ! まだ、背中の治療が終わってないだろうが……」 「はぁ!? 何言うてんねん! 何で、こういう時に限って病院に行かなぁアカンの? 今日は望とデートする日やって決めておったんやからな」  そう言う雄介なのだが余計に望の事を怒らせてしまったようだ。  先程よりも更に瞳を座らせ望は雄介の事を見上げる。 「……あのさ……全くもってお前は医療の事について分かってねぇわけ? だから、そんなふざけたような事を言ってられんだよっ! それに、医者と約束して来たんだろ? 入院しない代わりに通院はしますって……それにまだ薬だってしっかりと貰ってきてる訳じゃねぇんだろ? だったら、直ぐに行け! って言ってるんだよっ!」  さっきまでの重苦しいような雰囲気は何処に行ってしまったのであろうか? それが望のおかげでというのか? 望のせいでというのか? 急に空気も変わってしまったようだ。 「せやけど……デー……」

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