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ー雪山ー52

 そう雄介は笑顔で言うと立ち上がり、 「ほな、洗濯機も早よ。 洗濯干してぇな……って言うとるみたいやし、洗濯してくるな」 「あ、ああ」  望はそう言って行ってしまった雄介の背中を見送る。  雄介がいなくなると大きなため息を漏らす望。  何だか今日は久しぶりに緊張したような気がしたからなのかもしれない。 そして今やっと雄介が部屋の外に行って緊張が解れたような気がしたからだ。 「……ったく、好きに決まってるだろうが。 ただ、雄介を目の前にすると上手く言えないだけで」  そう望は誰もいない部屋でそう呟くのだ。  しばらくして雄介は洗濯カゴの中に洗濯物を入れてリビングへと戻ってくる。  雄介は望の後ろを通過すると庭に続く窓を開けてサンダルに履き替えて真っ直ぐに洗濯竿がある下へと向かう。  望はその雄介の後ろ姿を追っていた。 「やっぱ、雄介って何をやらせてもカッコいいよなぁーってか、画になるっていうのかな?」  望はソファの縁に顎を当てて庭で洗濯物を干している雄介の姿を見つめている。  今日は雲一つない青空。 太陽が眩しい位に地球へと光りを注いでいる。 雄介の左側からは完全に登り切っていない太陽が雄介の左半身を当てていた。 雄介は暑いのか、それともスウェットが邪魔だったのか分からないのだが腕捲りをして洗濯カゴに入っている洗濯物を次から次へと干していた。  いつも二人が休みの時には二人でやっている仕事なのだが今日は望が怪我をしてしまい、そのせいで雄介は一人で家事をやってくれている状態だ。  だが、そのおかげで望普段見れないような雄介の姿を見れているのかもしれない。  ちょっとだけ、その時間が幸せに感じるのは気のせいであろうか。  だって雄介が洗濯物を干している姿なんて自分だけの物。 そんな姿は自分だけしか見れないのだから、そこは恋人の特権とでも言えるのかもしれない。 そこが幸せに感じた所なのであろう。  雄介は洗濯物を干し終えると部屋の中へと入って来る。

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