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ー雪山ー170

 その二人の会話に口を挟みに行ったのは望だ。 「お前等なぁ、食事の前にそんな会話をしてんじゃねぇよ。 美味しい食事も不味くなんだろうが」  いきなり和也や雄介の後ろに向かった望に和也や雄介はその気配に気付いたのか声がした方へと顔を向けるのだ。 「……望?」 「なんだよー。 そんなビックリしたような顔しなくてもいいだろうが……。 俺がここに来ちゃ悪いのか? あのなー家とは違うんだぞ。 お前等の会話が俺たちがいる所まで聞こえて来てるんだっつーの! 少しは恥を知れ! 恥を……!」  望は言いたい事だけ言うと、さっきいたソファへと戻って来る。 そして再び息を吐くのだ。 「流石は望さんですね。 あの二人を黙らせる術を知っているみたいですしね」 「基本的にアイツらは単純だからな」 「早く僕も望さんみたいになりたいですよ。 そしたら、もっと会話が弾むじゃないですかー?」  そう何故か裕実は意味ありげに言っている。  そこで再び望は裕実の事を侮れないと思ったのかもしれない。 とりあえず裕実という人物というのは結構、警戒しなければならないのかもしれない。 なんかこう自然に会話をしていても心の中を探ってるような様子を見られているような気がするからだ。 そこは望の親父である裕二が見つけて来た子という所なのであろう。  裕実という人物はあの震災の中で病院が戦場化している所に飛び込んで来ているのにも関わらず病院一処置や行動が早いと言われている望に付いてきていたのだから凄い実力者でもあるというところだ。 だが問題なのはドジの方なのかもしれない。  しかも望に付いて来れたという看護師は和也だけで、その和也にも匹敵するようなスピード等を持っていたのだから。 それに裕実は和也よりも一個下の年で、まだまだ、これから伸びていく人間なのかもしれない。 「そういやさぁ、お前って、俺の親父にウチの病院に来ないか? って誘われたんだろ? その前は何処に居たんだ?」 「え?」  いきなり望にその部分を振られて体を固まらせる裕実。 そして望の事を目をパチクリさせながら望の事を見上げている。 「……あ、えーと……アメリカに居ましたよ。 望さんのお父様と同じチームで働いていましたけど」

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