818 / 2160
ー波乱ー21
「出来ないのも知ってる。 お前は今まで一人で色々な事に向かって行っていたのも分かってる。 俺達が頼りないのも分かってる。 だけど、昨日から何度も言ってるだろ? 一人で悩みを抱えるなって、頼りなくても頼ってくれた方が俺達の方は嬉しいしさ、その気持ちは分かってくれねぇのか?」
「……だよな。 でもさ、俺の方が上手く頼る事が出来てねぇのかもしれねぇな」
「じゃあ、頼るとは思わないで、話すと思うだけいいんじゃねぇのか? それだけでも気持ちは違うと思うぜ」
和也の方もその真剣な望の気持ちが伝わったのか望の方に笑顔を向けると、
「分かったよ。 ありがとうな……望」
「あ、ああ」
望はそう言うと和也から手を離す。
「お前等さぁ、そこで、何イチャついてんねん」
「雄介!? あ、こ、これはだなぁ……」
と望はなぜかそこで顔を赤くして視線を雄介から逸らしてしまっていた。
「望……焦らんくてもええよ。 まぁ、望がそう焦る姿可愛えねんけどな」
そう望と和也が話をしていた場所は外科病棟のエレベーター前だ。 そして、そこに現れたのは車椅子で来た雄介だった。
「まぁ、今の話全部聞いておったわぁ。 ってか、その話、この辺一帯には聴こえておったっていうんかな?」
それを聞いた二人は顔を赤くさせ顔を俯けてしまう。
「はじめはここで二人で芝居でもしておるんかな? と思っておったんやけど、どうやら、違うみたいやんな。 とりあえず、もう、仕事おわりやねんやろ? まぁ、仕事着は脱いで来てな。 そしたら、和也の話聞いたるし」
「でも……」
「もう、俺の方やって、その話聞いてもうたんやから、巻き込まれているのと同じ事やで……」
雄介はそう言うと、もう何回も入院しているからなのか車椅子を器用に使い自分の病室の方へと戻って行くのだ。
望は和也の肩をポンっと叩くと、
「雄介の方もああ言ってくれてるんだから、和也もそろそろ仲間の事を信じたらどうだ?」
「あ、ああ……ぅん……」
和也の方はまだ納得してないようなのだが二人はエレベーターへと乗り込むと一旦自分達の部屋へと向かうのだ。
部屋に戻ると颯斗に、
「遅かったようなんですが、何してたんですか? 僕の方はもうとっくに仕事終わらせてしまいましたよ」
颯斗はそう嫌味のように言うのだが、その颯斗の言葉に望は、
「ありがとう……」
そう素直に言うと今まで着ていた白衣を脱いで椅子へと引っ掛け颯斗がやってくれていた書類等に目を通す。
ともだちにシェアしよう!

