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ー波乱ー118
そして次の日。
望は忘れていた事だったのかもしれないのだが今日は家に帰る前に雄介は望の診察を受ける日だったようだ。
雄介の方は重い足取りながらも望が働いている春坂病院へと向かう。
今はもう歩いても苦ではない位に復活しているのだから。
とりあえず雄介は診察券を出し名前が呼ばれるまでロビーの方で待っていた。
予約診察に来ても前の患者さんで時間が掛かってしまえば時間通りにならないのが病院だ。
雄介が診察室前で雑誌を読んでいると、いきなり声を掛けられる。
「桜井さんですよね?」
雄介の方はいきなり声を掛けられて何があったのだか分からなかったのだが、そりゃ、名前を呼ばれたら反応してしまうだろう。 その掛けられた方向へと視線を向けると少し大人しそうで文学が好きそうな女性が立っていた。
「私の事、見覚えありますか?」
「あ、ああ! あるある! かなり前の現場に居った子やんな?」
「え、ええ……あの時の事故で助けていただいて本当にありがとうございました」
そう丁寧に頭を下げて来る女性に雄介は立ち上がって、
「何言ってるん? 俺達の方はあくまで仕事しただけやしな……お礼なんか……」
「桜井さんこそ何を言ってるんですか!? あの時、母を助けて下さらなかったら、私の方は毎日のように悲しみに暮れてましたが、今では母親の方も元気になって……」
その女性は雄介の手をガッチリと両手で握ると更に深々を頭を下げて来て言葉を続ける。
「私……今まで恋なんて事した事がなかったのですが……」
話を続けようとしているこの女性はこのままだと、この場で告白でもしてきそうな勢いだ。
雄介の方はここはまだ診察室前で焦ってしまっているようなのだが、やはり相手は女性なのだから振り切れる事も出来ず、そのまま女性の言葉を聞いてしまっていた。
「桜井さん……私は恋する乙女の一人になってしまいました。 付き合って……」
その女性が最後まで言い切らないうちに和也はグッドタイミングで雄介の事を呼び出すのだ。
「スマンな……俺、今日は診察で来てたし、今、呼ばれてもうたし、行くな……」
そう雄介は慌てたようにその女性の手を離すと診察室の方へと入って行くのだ。
「和也……とりあえず、助かったわぁ……ん?」
雄介はとりあえずそう言い視線を上げると未だに怒っている望の顔が入って来る。
「望……?」
望はそこで一回咳払いをすると、
「ベッドの上に上がって……」
いつものように業務的な事を口にする望。
「あ、ああ……せやったな……今は望は先生やったんやっけ?」
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