925 / 1005

ー波乱ー

そして、次の日からは、望はいつものように雄介にご飯を作ってもらい、食べてからは病院へと向かう。 やはり、朝ごはんを食べてから行くと気持ち的に元気なような気がする。いや、恋人に作ってもらったからなのかもしれない。 望は病院の駐車場へと向かうと車から降りて大空に向かって伸びをする。 もう直ぐ春を迎えるこの季節。 この病院の駐車場は大きくて、1/3は職員用の駐車場で残りの2/3は患者さんやお見舞い客の駐車場になっていた。そして、その周りには桜の木が植えてある。まもなく、桜が咲こうとしているのであろう。 「もうすぐ、ここの桜が咲きそうだったんだな…」 と望は1人そう呟きながら、病院の方向に歩き出すのだが、背後から寒気がするような殺気を感じる望。その瞬間、背後へと視線を向けるのだが、人1人いない状況に気のせいだと思ったのかもしれない。 とりあえず、その殺気で危険を感じた望は足早に職員用入口から中に入って自分達の部屋へと向かい鍵までも閉めてしまう。 この時間ではまだ和也は来てないのにも関わらず、その殺気だけで内側から鍵を掛けてしまった望。とりあえず、走って来たのだから、荒い呼吸を整えながらソファへと体を預けるように座るのだった。 今の出来事が気のせいならいいのだけど、もし、これが気のせいじゃなかったら、と思うと嫌な汗が額へと流れ落ちてくる。 それから暫くして部屋のドアを強く叩く音が聴こえて来て、今の望はそれさえも体をビクリとさせてしまっているようだ。そして、ドアへとゆっくりと近付き、 「だ、誰だ!?」 と低い声で掛けてしまう。だが、次の瞬間、聞き慣れた声に、 「おいおい…どうしちまったんだよ〜鍵なんか閉めちまってさ〜先に望が来てる時には鍵なんか普通は閉めないだろ?」 その声にホッとし、望は一気にドアを開けると中へと引きずり込むように和也の事を部屋の中へと入れるのだった。 「どうした!?何があったんだ!?」 そんな朝から不自然過ぎる望の行動に何かを察したのか、変に顔色が悪い望へと声を掛ける和也。 「いや〜なんでもねぇんだけどさ…」 「何でもないんだったら、そんなに顔色が悪いんだ?それに普段はここに鍵を閉めるって事はしてないだろ?」 「ああ、まぁ…だってよ…まだ、その出来事が確信ではないからさ…」 「…確信?」 望が言ってる事が未だに理解出来てない和也。とりあえず、望の事を引っ張り立ち上がらせると、ソファへと座らせ、冷蔵庫からミネラルウォーターを持ってきてそれを望へと渡す。
いいね
笑った
萌えた
切ない
エロい
尊い

ともだちとシェアしよう!