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ー海上ー64

 とは言うものの、やはり雄介と会ってしまったのだから流石の望でも直ぐに離れられる訳もなく、そう返事をしていたのにも関わらず雄介から離れるまで数分掛かってしまっていた。 「雄介……今日はゆっくりと休めよ。 俺の事は気にすんな」 「ああ、ありがとうな」  雄介の方は笑顔で望の方に手を振ると家の中へと入って行く。  それから一週間後。  前に和也と望が決めていた一泊二日の海へと向かう四人。  今回も和也の車でだ。 「前回の時は山やったけど、今回は海の方かー!」 「まぁな……でも、今回の方は望の方もノリノリだったんだぜ。 前回の時はスキーが出来なかったから本当に嫌だったみたいなんだけどさ」 「うるせぇ。 まぁ、海の方は山と違って泳げるから平気なんだよ」  そう望が後部座席から言うと和也の隣に座っている裕実がぼそりと、 「望さんはまだスポーツが出来るからいいじゃないですかー! 僕は運動音痴なのでスキーも水泳も出来ないのですからね」 「でも、いいだろ? スポーツは俺が教えてやってんだからさ」  そう言うと和也は裕実の頭を撫でるのだ。 「ですね! 和也に教えてもらうと運動音痴が克服出来るような気がしますしね。 とりあえず、スキーは出来るようになりましたよね?」 「まぁな」  和也の方は裕実に向かい笑顔で言うと今度は雄介の方へと話を振ったようだ。 「あのさ……雄介。 この前の爆発事故でお前の仲間が怪我したんだろ? お前の方も危なかったんじゃねぇのか?」 「まぁ、確かにそうやったのかもしれへんけどー、そりゃな、俺には望がおる訳やし、それに、ついこの間その事で望と約束したばっかりやったしな……そう『仕事では絶対に死なへん』って……。 あ、まぁ……それに、あの爆発事故でウチの署から怪我したのは一人やったしな。 まぁ、現場では多数の人達が負傷しておったけど、怪我人っていうだけで幸い死者の方は居らんかったし。 まぁ、テレビの方は案外大袈裟に言っておったみたいやからなぁ」 「まぁな……それなら良かったんだけどさ」  和也はそこまで言うと意味ありげにそこで言葉を止めてしまう。  そのまま車内が静まり返ってしまったようだ。  暫く静かな空間が続いたのだが和也の方はひと息吐くと、 「望……この前の事故があった時、望が話していた事を雄介にも話してやれよ」 「……へ? いいよ。 また、その事について思い出しちまうからさ」 「そっか……それだったら、俺が雄介に話していいか?」 「ああ、まぁな」

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