1183 / 2160

ー崩落ー53

 穴があったら入りたいとは、まさにこの事なのかもしれない。  流石に近くに穴はないものの望はそこにある布団の中にも身を隠してしまう。  そんな望の姿に和也はクスクスと笑っていた。 多分、望が和也の思った通りな行動をしたという事だろう。  そして和也は布団の中に潜ってしまった望を見ながら雄介に向かい声を掛ける。 「ま、そういう事だからさ……程々にな……」  和也は雄介にだけそれだけ言い残すと望の病室から出て行く。  そして雄介の方はひと息吐き望が布団から出てくるのを腕を組んで待っていた。  それから数十分過ぎた頃だろうか? 今まで動きがなかった布団が動き出し、その中から望がゆっくりとではあったのだが顔を出し始める。  望が覗いている所からはカーテンだけが目に入っていて、そこから辺りを確認するかのように望は目だけを動かしていた。  だが、その姿は雄介からは見えていたのか望はまだ雄介とは反対側を向いている為なのかまだ視界には雄介の姿は捉えてないようだ。  そんな望の様子に雄介は優しい瞳で見つめている。  望の方はゆっくりと上半身だけ起こすと雄介の方へと首だけを動かし、 「あのさ、今潜っていて考えてたんだけどさ……」  望は何故かそこで言葉を一旦切ると今度は真剣な眼差しで雄介の事を見上げると、流石の雄介の方もその望からの視線に気付き笑顔を向ける。 「な、お前さぁ、俺がこの病院でどういう立場って事知ってるんだろ? なら、病院で何でそういう話をするんだ?」  雄介の方は急にそんな事を望に言われてしまい理解出来てないようで首を傾げる。 そして望の瞳を見つめるのだが、そんな雄介の様子に望の今の言葉が雄介に通じてない事の気付き雄介から視線を外すと顔を俯かせる。  確かに望の口からこういう話というのは苦手な方で望からしてみたら確かに上手く言葉に出来ていないのかもしれない。 だからなのか更に言葉を砕くような言葉で言わないとならない事に望の方は更に顔を赤らめる。  それから数分が過ぎた頃だっただろうか。 二人の間には数分の間時が止まったかのように思えたのだが、望の方がやっと口を開く決心がついたのであろう。 再び望は真剣な瞳で雄介へと視線を合わせると意を決したように今度は雄介にも意味が分かるように話を始める。

ともだちにシェアしよう!