1201 / 2160

ー崩落ー71

「まぁ、それが和也の性格ですからー」 「せやな。 ほな、スッキリした所で望んとこに迎えに行こうかな?」 「早く行ってやれよ。 絶対にお前の事待ってるだろうしさ」 「ああ……」  雄介は和也達に笑顔を振りスッキリとした表情をして望の病室の方に向かったのだが、次の瞬間、雄介は顔色を変えて和也達がいるナースステーションへと戻ってくる。 「あー! もう! な、望が病室におらんかったんやけど?」 「はぁ!?」  雄介のその話に和也は裏声を上げる。 「おかしいな? 昼過ぎまでは病室に居たような気がしたんだけど……。 だって、俺、今日はここで仕事してたからな。 ここの前を通り過ぎれば例え下を向いて仕事してても気付くと思うんだけどな」 「……って、事は? さっき、二人の騒ぎの時に望さんは行ってしまったんじゃないんでしょうか?」 「確かにそれしか考えらんねぇんだよな……」  和也はチラリと雄介の方に視線を向けると、 「ま、後の事はお前達で何とかしろよ。 だってさ、俺達が雄介の家に雄介と一緒に行くのは流石に不自然だからな」 「それは……分かってんねんけど……」  そう雄介の方は憂鬱そうな声を上げる。 「確かに、雄介一人で望との溝っていうか、話し合いっていうのかそういうの出来なさそうだけどさ。 もう、俺達にはこれ以上アドバイスみたいなのはねぇしなぁ。 それに、これは二人だけの問題だしな。 ってか、雄介がそんなに弱気な姿勢でそうすんだよ。 とりあえず、望がお前に要求してる事は分かったんだからさ、お前はどれを実行するだけなんじゃねぇのか? 今の雄介なら望の事を動かす事が出来ると思うから大丈夫だって!」  そう和也は雄介へとそうアドバイスだけ言うのだ。 「せやな……ほな、頑張ってくるわぁー。 後で和也達に報告するな……」  そう笑顔になる雄介。 そして、やっとの事で雄介は病院を出る。  雄介が病院の入口へと出ると未だに雨は降り続いていた。  雄介は持ってきている透明の傘を開く。  雄介はそんなに傘にはこだわらない。 安くても体さえ濡れなければいいと思っているからなのかもしれない。  だが今日の雄介にとってこの透明傘の選択は間違ってるようにも思える。 透明傘の先に見える重たそうな雨雲。 やはり、雨の日というのは本当に憂鬱な気分を更に憂鬱な気分へとさせてくれているような気がする。

ともだちにシェアしよう!