1234 / 2160

ー崩落ー104

 雄介はそうあっさりと歩夢の事を諦めると裕二の事を背負いトンネル内に待機してある救急車へと運び再び望の所へと戻って来て、 「な、アイツん事……強制的に外に連れてってええか?」 「……へ?」  最初、望は雄介が言ってる意味が分からなかったのだが、一瞬で雄介が言いたい事を理解し、 「ああ、力づくで連れて行っていいぜ。 お前じゃ、あの歩夢には言葉じゃあ勝てないだろうな」 「ほなら、そうさせてもらうわぁ……」  雄介は再び歩夢へと近付くと、 「望から許可得たし、スマンが……お前ん事連れてかせてもらうで」  雄介は歩夢の事を抱き上げると、そんな事をされた歩夢はその雄介の腕の中で暴れ出すのだが、歩夢に雄介が怯む事はなかった。 「離せよっ!」 「無理やって……」  そう強く言ってくる歩夢に対して雄介の方は、まだ冷静なのか静かに答える。 そして歩夢がどんなに雄介の腕の中で暴れても歩夢がそこから抜け出す事が出来ないでいる。  それで歩夢は諦めたのであろうか。 やっとの事で腕の中で大人しくなったようだ。  それを見ていた和也は、 「やっと、歩夢の奴……大人しくなったみたいだな」 「雄介にでもああでもしてもらわないと病院に行かなさそうだからな」  望はゆっくりとそこに立つと、もう怪我人は病院に搬送し終わった事もあってそこに安堵し、ゆっくりと体を伸ばすのだ。 「俺達も外に出ようぜ」 「ああ、そうだな……」  そう和也と望は笑顔になると、 「後はお前だけやで……外に行こうや……」  雄介はもう一度トンネル内にある避難所へと戻って来ると望と和也を誘導して外へと向かう。  崩落があったトンネルの方にある火は勿論消えていたのだが、そこは消火活動をした後だったからなのか水浸しになっていた。  トンネル内に閉じ込められた車はガソリンが引火し、もう既に骨組みしか残っていない。  そんな中を歩き雄介が先導して付いて行くとトンネルの先が赤くるなってきているのが見える。  そんな光りが懐かしいという表現はおかしいのだが、もう何時間振りなのか何日振りになるのかは分からないのだが、やっと暗い場所から明るい場所に行けた望と和也。

ともだちにシェアしよう!