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ー過去ー134

  雄介が部屋のドアを開けると、望は既にベッドの上に横になっていた。  だが雄介は先ほどの事もあってか、どうしようかと部屋の中をうろうろとしながら歩き回り始める。  そう雄介の性格上、喧嘩っぽい事をした後に直ぐに望の所へ行ける性格でもない。 これがきっと和也なら後ろから抱き締めて何とか相手の機嫌を直す事が出来るのだが、雄介の場合には相手の許しがもらえるまでは動けない性格なのかもしれない。  雄介が部屋の中でうろうろとし始めて十分も過ぎた頃だろうか。 流石の望もそんな雄介の行動に呆れたようなため息を吐き、望なりに雄介に声を掛けるのだ。 「雄介……何をしているんだ? お前も明日は仕事なんだろ? そんな所でうろうろなんかしてねぇで、ベッドに横になればいいんじゃねぇのか?」  その言葉に雄介はやっとの事で明るい表情を取り戻したようだ。 そう雄介だって望は素直ではない性格だという事を知っている。 逆に遠回しに許してくれている事も分かっているのだから嬉しくて仕方がないのかもしれない。  その望からの言葉を受けて雄介はすぐにベッドへと潜り込むのだ。  雄介は望から許しを貰った後は、調子に乗ってしまうタイプらしく、雄介は反対側を向いてしまっている望を後ろから抱き締める。 「明後日は望の誕生日やんな……望がこの世に生まれて来た記念日や。 望が生まれて来てくれた日だからこそ、今の出会いがあった訳やし。 もし、望が生まれてこんかったら、望とはこないな風に幸せな時はなかったかもしれへん。 ホンマ、望……生まれて来てくれてありがとうな」  今までそんな事を誰にも言われた事がない望は、どんな風に返していいのかが分からないようだ。 だが望はその雄介の言葉に一生懸命考えた結果、とりあえず頷く事だけにしておく。  それに気付いた雄介は、この流れを変えたくないと思ったのか、 「あ、あー、ゴメンな……いきなし、堅い事言われたら返事に困るよな? せや、せや……あーと……」  雄介は一生懸命、話を変えようと望から離れて天井を見上げながら考えるのだが、どうやら和也のように自然に変えるような事は出来なかったようだ。 「……無理すんなよ」

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