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ー過去ー153

 しかし幼稚園に入る前の記憶とは曖昧な所だ。 写真一枚見ても自分が何をやっていた事なんて事は思い出す事が出来ないのだから。  幼稚園まで上がってしまえば、印象があった出来事は覚えていられるのだが、それ以外の事は全くもって思い出す事は不可能に近いのかもしれない。 そうだから幼稚園位になっていた雄介はその事を覚えていたのであろう。  しかし幼稚園の頃とはいえ、まさか雄介と出会っていたなんて事は思ってもなかった事だ。 さっき、あの話がなかったら、ずっと知らないままだったのかもしれない。  フッと望が時計へと視線を向けると、一時半を指していた。  雄介が寝てしまってから約三十分。  確かに望はさっき雄介に四十五分は寝ろ。 とは言ったのだが、雄介の事を起こすかどうかっていうのを迷っていた。  望は時計と雄介の顔を交互にに見ながら雄介の様子をうかがう。  雄介の仕事は二十四時間勤務で、夜寝れると言っても仮眠程度であろう。 しかも寝れる日もあれば寝れない日もある。  そして、さっきの雄介の話を思い出すと、雄介は昨日仕事で寝れなかったと言葉を濁していたようにも思える。  だから望は雄介の事を寝かせる事にしたのだが、たった一時間位で一日寝てなかった体が復活する訳がない。 それでなくても雄介の仕事というのは体を使う仕事で疲れているのだろうから。  望もう一度時計の方に視線を向けると、もうすぐ望が言った四十五分になろうとしている。  望は雄介の事を起こそうかと未だに迷っていると、いきなり部屋内にベルの音が鳴り響くのだ。  望はその音で体をビクリとさせたのだが、雄介の方はその音で体起こし枕の下に置いておいた携帯を取り出すとアラームを止める。  その雄介の行動に望は思いっきりため息を吐き出し、 「お前なぁ」  と呆れたように言うのだ。 「そりゃなぁ、せっかくの望の誕生日やし、そんなに望の事一人ぼっちにさせたくなかったしな……アラーム掛けておいたんや。 因みにこの音やったら、必ず目覚ませそうやったしな」  確かに雄介が言ってる事は分かるのだが、望はもう一度呆れたようなため息を漏らすのだ。 「ほなら、もうええやろ?」 「ってか、本当にお前……体大丈夫なのかよ」 「大丈夫やって……なんの為に毎日のように鍛えておると思ってん? 体力の方は人一倍あると思ってんねんけどな」 「まぁ、な……」 「ホンマ……久しぶりやんなぁ。 望の事抱けるのは……こんな嬉しい時にゆっくりと寝てる暇なんかないって。 な、望……ちゃんと俺は約束守ったやろ?」 「ああ、まぁ……確かにそうだよな」 「ほんなら、今まで我慢しておったんやから」 「そんな事、分かってる」

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