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ー過去ー180
「ま、せやな……」
自分達の親のおかげで今は雄介の異動はきっと無いだろう。
「な、もし……俺がまた海外でずっと長い間勉強の為に行く事になったら、お前はどうするんだ?」
そう望は意地悪気に問う。
「ま、そこはあり得ないとは思うけどさ……。 もしもって事もあるだろ? ほら、俺の親父はアメリカに知り合いがいるって言ってたしよ。 もしかしたら、アメリカに行って学んで来い。 って親父の事だから言うかもしれねぇんだぜ」
「それやったら、俺も着いて行く! ほんで、そん時には俺も看護師か医者になってな!」
その雄介の決意に望はため息を吐くと、
「だから、それは前に言っただろ? 中途半端な気持ちで医者が看護師になるなって……」
そんな話をしているうちに展望レストランがあるビルの地下駐車場へと着き、二人は車を降りるとエレベーターを使ってレストランへと向かうのだ。
エレベーターを降りた先にはお店の入口があって、そこにはもうレストランのホールが広がっている。 そして入口には黒のベストに黒のスラックスを身に纏ったスタッフが立っていた。 きっと、その人物はこのレストランの案内人だろう。
いかにも高級そうな絨毯の上を望達は歩きウェイターに席へと案内されると腰を下ろすのだ。
そう、その場所というのは前と変わらない場所で、望は窓の景色を眺める。
だが前とは違うのは既に目の前に雄介が居るという事だろう。
「なぁ、望……さっきの話の続きやねんけど……。 ホンマに俺、看護師や医者になりたいんや。 何で、望は俺が医者や看護師になるの反対なん?」
「別に反対はしねぇって言っただろ? ただ、中途半端な気持ちではやって欲しくはねぇって言ってるだけだ。 しかも、下心なんて一切無しにだ」
今まで外の景色を眺めていた望だったのだが、急に雄介の方へと視線を向け真剣な瞳で雄介の事を見上げる。
「せやから、俺はそんな中途半端な気持ちでなろうとは思ってないで……。 望が言うてる半端な気持ちって仕事中に望の事を求めちゃあいけないって事なんやろ? 流石に仕事中にそないな事求めようとは思わへんわぁ」
「じゃあ、ちゃんと自分で方向性を決めろ! 看護師や医者とかじゃなく、看護師なら看護師。 医者なら医者ってな! 未だにどちらかっていう事を決められてない時点で中途半端な気持ちなんだって言ってんだよ! それに、例え正規な医者や看護師になれたとしても、ウチの病院で働けるっていう訳じゃあないんだぜ。 それでもいいんだったら、医者になろうが看護師になろうが構わないっていう事を言ってんだ」
その望の言っている言葉に、雄介は何かこう試されているような感じがしたのか、
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