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ー天使ー60

「そりゃな……」 「じゃあさぁ、何で急に医者になろうと思ったんだ?」 「正直なとこ、不純な動機もあんねんけど、望の手伝いが出来たらええかなぁ? って思ったんや。 確かに、望の方が何倍も先輩ねんけど、火事場のことに関しては多分、俺の方が知識が上やと思う。 ほんでもって、俺は暇な時に望の部屋にある医学書とか読ませてもろうてたから、そういうことに関してはむっちゃ強くなった気がするし」 「まぁ、それだけじゃねぇけどな。 とりあえずは安心した。 お前が頭が良さそうで……でもって、体力もありそうだからな」 「そりゃな……って、まさか、望!? 消防士は体力馬鹿だと思ってたと違ゃうやろな?」  そうふざけて言いながらも雄介は恐る恐る聞くのだ。 「やべっ……雄介が言ってるまんまだぜ」 「ホンマかいな……まぁ、しゃーないわなぁ。 消防士として働いたことがない奴には分からない仕事やからなぁ」 「まぁ、そういうことだ」  そう話をしているとやっと二人は家の駐車場へと辿り着く。  雄介は駐車場へと車を止め車から降りるのだ。 「今日は寝るの遅くなってまったし、風呂はシャワーでええか?」 「俺は基本、シャワーだから平気だけどよ。 雄介はどうなんだ?」 「俺は構わへんで……」 「そっか……なら、今日はシャワーで、だな」 「って言うってことは……一緒に入ってもええってことか?」  車から降りた望を雄介は後ろから抱き締める。 「だ、誰も……そんなこと言ってねぇだろうがぁ」  相変わらずそんな話になると、顔を赤くし雄介から視線を反らしてしまう望。 「話の流れ的に、そう言っておった気がすんねんけど? 俺の気のせいやったらええわぁ」  何故かそう言うと、雄介は望から離れ先に部屋へと入って行ってしまう。  そんな雄介の後ろ姿に望は一つ溜め息を吐くと、 「明日も早いんだから……こんな遅くなっちまったし、二人で入った方が効率がいいんじゃねぇのか?」  決して望は雄介と一緒にお風呂に入りたくない訳ではない。 ただたんに素直になれないという性格が邪魔してるだけだ。

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