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ー天使ー71
その雄介の気迫に流石の歩夢も諦めがついたのか一つ溜め息を吐くと、
「分かったよ。 今日はここまでにしておくけど、今度、僕がここに来た時には、雄兄さんのことを狙わせてもらうからね」
歩夢の言葉に和也達が呆れたような溜め息を吐いたのも言うまでもない。 実際、本気で歩夢が雄介のことを諦めた訳ではないのだから。
歩夢はそれだけ口にすると、今日は諦めたように望の家を出て行く。
全員が安堵の溜め息を吐いた頃、琉斗が雄介のことを見上げ、
「ボク、歩夢兄ちゃんのこと大嫌い! あのさぁ、雄介おじちゃん、歩夢兄ちゃんって誰なの?」
子供ながらに琉斗はそれが気になっていたか、『歩夢兄ちゃんのこと嫌い!』とか言いながらも雄介に向かい目をパチクリとさせていた。
「へ? 歩夢は誰だって? 望兄ちゃんの弟やって……」
「……弟?」
まだ子供の琉斗には分からない言葉だったのか、琉斗は首を傾げながら雄介の事を見上げるのだ。
「あー、そこ、知らんかった言葉やったんか。 まぁ、琉斗の場合は兄弟も居らんし余計に知らんかった言葉だったのかもしれへんな。 弟っていうんは、例えば琉斗の下にもう一人の男の子がおったら、その子が弟になるんやで。 せやな、琉斗のお母さんがおるやろ? お母さんの弟が俺なんやって」
「ふーん……そうなんだ……分かった!」
本当に琉斗は意味が分かったのかは定かではないのだが、二人の会話が途切れると、今度は和也が言葉を言い始める。
「いやぁ、歩夢の奴……今回ばかりは琉斗には勝てなかったみたいだな。 流石に手を出そうとした時には危ねぇとは思ったけどよ。 そこは雄介がなんとかしてくれたしな。 で、雄介は歩夢には全然、気はねぇの?」
「当たり前やんか。 しかし、今回の歩夢にはホンマ焦ったわぁ。 まさか、琉斗にまで手を出してくるとは思ってへんかったしな」
「だよな。 流石に普通はそこまでしねぇだろ?」
「まぁ、歩夢はまだまだ子供って事やんな」
「な、望! 話変わるんだけどさぁ」
和也は今度、望の方へと顔を向けると、
「もし、今、雄介が歩夢に向かってなんか手を出していたら、歩夢のことを庇ってたか?」
「まさか……俺が歩夢にそんなことする訳がねぇだろ。 歩夢は確かに兄弟だけど、あまり、縁が無い感じだしさぁ。 それに、今のは明らかに歩夢の方が悪いんだしよー」
「ま、確かにそうだな」
和也は立ち上がると、
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