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ー天使ー73
「とりあえず、望が俺の心配をしてくれるのは嬉しいねんけどな。 琉斗の事も考えて上げてぇな。 まだ、琉斗は子供ねんやぞ……今、親が居てなくて我が儘も言えへん状況なんやで、そういう状況だからこそ、俺等から琉斗に『どっか行かへんか?』って誘えんでどうすんねん。 せやから、今、親代わりの俺達がそういうとこに連れ出して気分転換してやらなぁ、可愛そうやろ? それに、琉斗……あまりなんも言わへんけど、それはまだまだ俺達に遠慮しとって言われへんだけやしな。 だからやな……今まで大人しくしていた分、何かして上げないと可愛そうやろが」
その雄介の言い分に望は納得したのか分からないのだが、両腕を組み頭を俯かせ何か考え始める。
そんな望の様子に気付いた和也は、多分もう一押しすれば望が納得してくれるんだと思い立ち上がると望の傍へと向かうのだ。
「ほら、雄介もそう言っている訳だしさぁ。 今日は琉斗の為に遊園地に行って上げようぜ……」
「だけどさぁ」
「だけど、なんだよ。 まさか、望が遊園地があまり好きじゃないとか?」
「いやぁ、そういう問題じゃねぇんだよな。 逆に遊園地って行ったことがなあかったから行ってみたいってのはあるんだけどな」
その望の言葉に目を丸くしたのは雄介だ。 確かに今までデートの場所に遊園地を選んだことはなかったが、まさか望が遊園地に行ったことがないということが意外だったからだ。
「ホンマに望は遊園地に行ったことがないんか?」
「ああ、ねぇよ。 前に言ったことがあんだろ? 俺は小さい頃、婆ちゃんに育てられたから、遊園地に連れて行ってもらえなかったし、『そんなハイカラな所には行かないよ』とか言ってな。 それに、俺は勉強づくしだったから、高校の頃にも大学の頃にも友達と行く暇がなくて、今まで行ったことがなかったんだよな。 だから、少しは行きたいってのはあるんだけどさ、その……雄介のことを考えると……だな」
最初はスラスラと話をしていた望なのだが、最近、雄介と二人だけの時ならば多少素直になってきたと思われたが、流石にまだみんながいる前ではハッキリと『雄介のことが心配』とは言えなかったのであろう。 声が段々と小さくなってきていたのだから。
「せやから、俺は大丈夫やって言ってんねんやろ?」
だがまだ望は納得してないようだ。
「ほんなら、俺がちょいと寝たら、みんなで遊園地に行ったらええねんな?」
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