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ー天使ー136
そんな雄介に対し望は一息吐くと、
「雄介……。 帰るんだろ? なら、帰ろうぜ」
そう望は変に明るく言うのだ。
今の望にとって、果たしてどっちなのであろうか。 ただ普通に雄介に接しようとしているのか変に明るく振る舞おうとしているのか、定かではないのだが。 それは本人しか知ることが出来ないことであろう。
そんな望に答えるかのように、雄介は立ち上がると、
「せやな! 早く帰ろうや。 ほなら、早く着替えて来ぃやぁ」
今の望の言葉や態度で、雄介の中で何かが吹っ切れたのかもしれない。 先程まで緊張していたが緊張がほぐれ、いつもの雄介に戻って来たのだから。
「ああ、分かってる……」
望は見えないように微笑むと、今度は和也に向かい、
「先に着替えさせてもらうぜー」
「ああ! おう!」
と、その望の言葉で和也はソファに座り望に向かい片手を上げる。
そして望がロッカールームへと姿を消すと、雄介の方へと身を乗り出し、
「今の望に感謝しろよー。 あまりにもお前が望に対して意識し過ぎてたのに気付いていたから、望にしては珍しく、お前のことをいつもと変わらないように誘導してくれたんだからな」
「分かっとるって……。 せやから、いつもの自分でありのままの姿でおるつもりやからな」
「そうだな。 望の努力を無駄にするんじゃねぇよ」
和也がソファへと寄りかかった直後、スーツに着替えた望が出てくるのだ。
「よっしゃ! ほな、和也、またなぁ」
「ああ、またな……」
いつもの和也なら、ここで茶化すところだが、今は茶化さずに二人のことを見送る事にしたらしい。
望と雄介は望の車が置いてある駐車場に向かう。
「雄介……車の運転を頼むな」
「ああ……って、お、おい、いきなり、車の鍵投げんなや」
「ま、雄介なら、いきなり鍵投げたってキャッチしてくれるの分かってたからな」
「あ、ま、まぁな……」
そんな会話をすると、二人は車へと乗り込む。
「望……これから、どないする?」
「……へ? 飯でいいんじゃねぇのか?」
「せやから、飯どうするかなぁ? ってな……外食か俺が作るか?」
「そうだなぁ? 今からだと作るのは大変になるだろうから……今日は外食でもいいかな?」
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