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ー決心ー90

「貸しは貸し……」  雄介は少し考えると、 「なぁ、それって、『借り』と違うん?」 「『借り』?」 「多分、やけどなぁ。 歩夢が言いたいんは、『今回は雄兄さんに頼まれてやるってことは、次回、自分に何かあった時に、歩夢が雄兄さんに頼むことが出来る』とかいうやつやろ?」 「うん。 そういうこと……」 「ほんなら、『借り』やと思うねんけどなぁーって思うたんやけど……」 「もう、そんなのはどうでもいいじゃん! 『借り』でも『貸し』でも! 僕は今までアメリカに居たんだから、たまに間違えることだってあるんだからさぁ。 今までアメリカに居たんだから、逆に言えばこんだけ日本語を話せるって方が凄いと思うよ。 雄兄さん、人間が小さ過ぎるよー。 たった一言、僕が言葉を間違えたことで、言ってきてさぁ」  本当に歩夢という人間は頭にくる。 ただ雄介は『借り』と『貸し』とではだいぶ意味が違うというのか、『借り』と『貸し』なのかを聞きたかった筈なのに、まさか歩夢にそこまで言われるとは思ってなかった事だ。  雄介は溜め息を吐くと、 「ま、ええわぁ。 とりあえず、歩夢、行って来てくれへんか?」 「だから、それはさっきっから言ってるでしょ? それは雄兄さんは借りでいいの? って……」  普段、穏やかな雄介でも相当頭にきているのかもしれない。 こんな事故が起きているのにも関わらず歩夢はそんな話をしてくるのだから。 今は人命の救助が先だということが歩夢の頭には無いのであろうか。  だが歩夢の性格上このままでは歩夢が折れるってことは絶対無いだろう。  雄介は怒りを抑える為に手に拳を握りながらも、 「ほな……歩夢……お願いな……」  歩夢は立ち上がると、 「分かったよ。 雄兄さんの頼みなら、僕が言って来て上げる。 今度、雄兄さんには何をしてもらおうかなぁ? 一日デートっていうのもいいよねぇ」  と最後の方は独り言を漏らしながら歩夢はまず今は座席の下の部分を踏み台にすると、ジャンプすれば窓にまで手が届きそうな距離までになる。  後はそこに手を付けて体を上げれば電車からの脱出は可能であろう。

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