1953 / 2160

ー信頼ー5

 住宅地に向かう道は山が近いからなのか道には傾斜がある。 それを二人はゆっくりとした足取りで上がって行くのだ。 「あ、和也が言ってた小さな雑貨店があんで……」 「本当だな。 まぁ、ここで消耗品は買った方が良さそうだな」 「せやね」  二人は少しずつ歩みを進めると、今度は学校らしき建物が見えて来た。 「やっぱ、こういう所の学校っていうのは、生徒数が少ないからなんか、学校はそないにでかくないみたいやんなぁ」 「まぁ、そうなんだろうよ。 生徒数っていうのは数十人って所か?」 「今日は生徒の気配を感じない所を見ると、今は夏休みって所なんかな?」  その雄介の言葉に望はいつも愛用している腕時計へと視線を向け日付けを確認したようだ。 「そうみたいだな。 今は八月の半ば辺りみたいだしよ」 「こないに自然が沢山ある所に住んでおったら楽しいんやろな? 今はきっと夏休みだろうから、山の方に虫を取りに行ったり、後は海にも近いんやから海に遊びに行ったりして自然を満喫出来る遊びが出来るんやろうしなぁ」 「へぇー、こういう所だと、そんな遊びが出来るんだな。 俺、虫取りとかっていう遊びはした事がねぇんだけど……」 「そうやったんかぁ!? ほなら、今度、虫取り行くか?」  その望の発言に雄介の方は子供のように目を輝かせ、望の方へと視線を向けるのだが、望の方は難しい表情をしながら、 「あ、いや、別にいいって……そこはさぁ、もう子供じゃねぇんだしよ」 「そっか……ほなら、ええか……」  さっきの表情とは一変し、今度は残念そうな表情を見せる雄介。 本当に雄介という人間というのは子供のようにコロコロと表情を変える奴だ。 と望は思っているのかもしれない。 「今日は、学校より上にあるちょっとした山を上がるのはええよな?」 「あ、まぁ……確かにそうだよな? ま、山を上がるのは今度にしようぜ」 「そしたら、あの角を曲がって、後は海の方に向かうって事になんのかな?」 「ああ、多分……そうだろうな」  すると今度は和也が言っていたコンビニが見えて来る。 「コンビニの方はここにあったんか……まぁ、ちょっと診療所からは遠い気がすんねんけどな?」 「自転車でも持ってくれば良かったか? 一応、和也と俺の車だけは持って来てるんだけどさ、ここだと車移動の方が逆に大変そうな気がするしよ。 でも、自転車でも苦労するのかな? 坂道が多い訳だしさ」 「せやね……」 「なら、とりあえず、自転車は親父に送って貰う事にしようかな? あ、いや……いいような?」 「まぁ、そこは分からへんけど、あったらあったで使えるかもしれへんよな?」  と、その時、雄介達の横を女の子が坂道を自転車で走っているとバランスを崩してしまったのか雄介達の目の前で転けてしまった。

ともだちにシェアしよう!