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ー信頼ー14

 二人がいなくなってしまい、今は望と雄介だけがリビングに残ってしまっている状態になる。  急に静かになってしまったリビングに、望も雄介もどうしたらいいのか? っていうのが分からないようだ。 雄介なんかは今はもう望から視線を離し完全に瞳を宙へと浮かばせてしまっているのだから。  そう和也達がいた時にはこういつもと変わらない感じで話せていた筈なのに、二人だけになった途端に急に会話が途切れてしまったようにも思える。  多分、久しぶりの二人だけの空間に意識してしまったって事だろう。 「とりあえずさぁ、和也達が風呂から上がって来たら、先に風呂に入って来ていいぞー」  と、そう先に口を開いたのは望だ。 「あ、ああー! せやね……ま、望がそう言うんやったら、先に風呂使わせてもらうわなぁ」  こう久しぶりに二人だけの会話となると、ぎこちなく感じるのは気のせいであろうか。  それだけを雄介に告げると望は食器を洗い始めるのだ。  望が食器を洗っている間、二人の間には会話がなくリビングには食器を洗う水音だけが響き渡る。  と、そんな時、雄介は突然、椅子から立ち上がり望がいる所へと向かうと、 「俺も手伝うし……」 「ああ、ありがとうな」  そう言うと雄介は望が洗い終えた食器を拭き、それを食器棚へとしまっていく。 「なぁ、望……やっぱ、俺等も一緒にお風呂に入らへん?」  その雄介の言葉に望は動揺してしまったのか、持っていたお皿を滑らせ床へと落としてしまう。 「……って、大丈夫かぁ!? 怪我とかってしてへん?」  そう慌てた様子で雄介の方は言うと急いで箒とちりとりを持って来て、お皿の破片を掃除し始める。 「あ、ああ……まぁ、俺の方は大丈夫だから……」  と望は何か言葉を続けようとしたのだが、急に雄介が望の肩を両手で掴むと、 「なぁ、さっきも言うたけど、ホンマこのままだと俺達の関係っていうのは、恋人同士やなくて、友達同士っていう関係になってまうで……それと、ホンマこのままやと俺の大学時代と変わらんようにもなってくる。 確かにこの状況で望の事を抱くって事は出来へんのかもしれへんけど、せめて、寝る前とかお風呂の時には恋人らしい事はしたいと思うとる。 まぁ、確かに東京の病院で働いている時よりかホンマそこは時間の余裕さえ無くなってるとは思うねんけどな。 だけど、診療所にいない時っていうのは俺達のプライベートな時やんか……せやから、せめて恋人同士らしい事はしてもええんと違うの?」

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