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最終話
それから頑張って、うちの事務所のオーディションに合格して俺がマネージャーに付いた時は夢のようだったと言われた。
そのあとは気を引こうとして色々生意気な行動をしていたと。
「それで、えっと……話を戻すとこの指輪は……」
「俺の10年分の想いが詰まってる。まだまだ子供だけど、ずっと名波さんの事見てきたし、憧れだったし、ずっと好きだった。だからこの指輪あげるから俺を選んで」
生意気なんだよな、やっぱり……
だけど、指輪を薬指に通されながら思ったのは嬉しいという感情だった。
「……瞬、多分俺もお前のこと好きかもしれない」
驚いた顔のこいつの頬をつねると、そのまま押し倒されていつものように口を塞がれた。
そして目を閉じ、ゆっくりとそれを味わっているとあの時のように親指の腹で瞼をなぞられる。
「ここ、あの人も知ってるんだろ?」
「え?」
「目を閉じた時だけ見えるこのホクロ。普段は二重に隠れて見えないけど、目を閉じた時だけ現れる。これキスする時か寝てる時しか見れないのに、あの人もそれを知ってるって思ったらムカついてさ」
「嫉妬ってそれかよ」
「だってムカつくじゃん」
「あれは撮影の時にたまたま目を閉じた時に知られたんだよ。だからお前が思ってるような事ではない」
すると俺からの話にホッとした表情を見せる。
そんな顔が可愛くて、俺はそのまま首に腕を回して引き寄せた。
*
「……ッ……いっかい……抜けッ……て」
「ヤダよッ……今夜は離さない」
それからお互いに服を脱がし合って、何度も求め合った。
俺の中にこいつの熱が吐き出される度に身体は熱くなるばかりで、どんどんと深みにハマっていくような気がした。
「名波さん、俺も航平って呼んでいい?」
「……ッ……好きに、しろッ」
再び突き上げられながらそんな事を耳元で囁かれると否定なんか出来なかった。
「……ッ……気持ちいい?」
「やッ……そこ……んん」
「航平……ッ……言って?」
「気持ち……ッ……いい……」
感じる場所を擦られながら甘く名前を呼ばれると、身体が震えて吐精感が増して……
「やっぱりそのホクロエロい……ッ」
「んあぁッ……ああッ……イく……ッ」
「いいよ、一緒にイこう……ッ」
何度目か分からない限界に視界が霞み、汗ばむ身体をしならせると瞬の額からも汗がポタリと落ちる。
それが合図かのように突き上げが更に激しさを増すと俺たちはほぼ同時に白濁を吐き出した。
荒い呼吸のまま口づけられ、瞼のホクロに触れながら、
「こういう普段は隠されてるホクロがある人って、クールと見せかけて実はエッチな人なんだって」
そんな事を言われた。
「は?!俺は違うだろ!」
「え、充分ムッツリスケベだと思うけど?」
「ち、違うっ!お前がしつこいから」
「まぁ、これから身をもって俺が証明してくからいいけど」
「外では禁止だからな」
「はいはい、うちでね」
──例えば恋に似た始まりがあったとしたら、それを恋だと自覚するのは今なのかもしれない。
だけど、この恋はトップシークレットで誰にも秘密の関係。
それでも俺はこの始まったばかりの恋を守って行こうと思う。
この指輪に込められた意味を噛み締めながら、そう密かに心に誓った……
END
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