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episode3-3
「あれ、高野?」
「あ、藤井先輩。」
「どーしたの、家近いのに駅で一緒になるとか珍しいじゃん。」
藤井先輩は、俺とよくバイトのシフトが被る男の先輩。
俺がここのバイトを始めた時に、1から色々教えてくれた先輩だ。
「あー…今日は俺んちじゃなくて友達んちに泊まってたんで。」
「いっつも一緒にいるあの友達?」
「あ、はい。あいつっす。」
珍しいね、と先輩が言うから
まあ色々ありまして、と俺は言葉を濁した。
「………藤井先輩、変なこと聞いてもいいですか。」
「変なこと?」
「先輩って、あのー…。」
「ん?」
「男の人を好きになったことって、ありますか?」
俺がきくと
先輩は目を丸くして俺のことを見た。
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