55 / 213

episode3-3

「あれ、高野?」 「あ、藤井先輩。」 「どーしたの、家近いのに駅で一緒になるとか珍しいじゃん。」 藤井先輩は、俺とよくバイトのシフトが被る男の先輩。 俺がここのバイトを始めた時に、1から色々教えてくれた先輩だ。 「あー…今日は俺んちじゃなくて友達んちに泊まってたんで。」 「いっつも一緒にいるあの友達?」 「あ、はい。あいつっす。」 珍しいね、と先輩が言うから まあ色々ありまして、と俺は言葉を濁した。 「………藤井先輩、変なこと聞いてもいいですか。」 「変なこと?」 「先輩って、あのー…。」 「ん?」 「男の人を好きになったことって、ありますか?」 俺がきくと 先輩は目を丸くして俺のことを見た。

ともだちにシェアしよう!