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Ⅰ 総理帰国③
「かー君♪来てくれたんだねー♪」
ギャ、見つかってしまった★
「かー君♪ここだよ!」
ギャー、手を振るんじゃない。
「あれ~?かー君気づいてない?ここだよー!」
ブンブンブンッ
腕ちぎれるぞっ
「あほ面がテレビに映っとるわーッ」
「かー君、気づいてくれた♥」
しまったー♠
「かー君、こっちへおいで~。君も私と一緒にテレビに映ろう!ほら、ピースだよ✌」
「……」
「ピース、ピース✌」
(……あほの子供か)
「なんか言ったかーい?かー君」
「降りてこい!!」
この、あほパパがァァァーッ
お花畑頭をぶん殴って、祖国の土に還してやる。
「嬉しいね。君から私をご所望かい?」
「お花畑が!頭から湯気出して永遠に寝てろー!」
「君の膝枕で眠りたいよー!」
優雅に身を翻す。
その男はタラップで、日本国 第99代内閣総理大臣に敬礼すると……
政府専用機の真っ白い機体を背に、その白い影に映える美しい敬礼をほどいて、陽光を蹴って駆け出した。
天を仰いだ精悍な黒瞳がささめいた。
「日本の空は青いね」
指の間から掻き上げた黒髪が、空に流れる。
陰の官房長官といわれる男
反総理派を押さえ込み、総理帰国の血路を開いたのは、この男の恐るべき権謀術数の賜物である。
男は大使と呼ばれている。
赴任国で総理を護り、総理と共に帰国した外交使節 最高長官。
奥津 セイゴ
「かー君♥ただいまー!!」
「ギャー♠」
目がハートになってるゥゥ~
「私の祖国は君だよー!!」
「気持ち悪いわーッ」
「スマイル、スマイル♪私達、テレビに映ってるよ。ほら」
……せーの。
「ダブルピース✌✌」
「ウギャアー♠」
いつの間にっ
逞しい両腕に俺は包まれて、背中に厚い胸板を感じている。
俺を囲む両手が、ピース✌……って~
「ダブルピース✌✌君もピースしてみよう!トリプルピースだよ♪」
いい年して!
(なにがダブルピースだ✌✌)
(あんた、一体いくつだ)
「愚問だね」
革手袋を投げ捨てる。
青い空、宙高く黒い革手袋が舞った。
背後から掌の体温が頬を撫でた。
「大人の男に年齢を聞くのは失礼だよ」
髪を掻き上げられて、耳に添えられた。
「大きくなったね、櫂 」
チュッ
「うん、背も伸びたし重くなった」
「わわッ」
ほっぺに口づけを落とされたと思ったら、足ィ~
地面についてない。
抱っこされてる★
「下ろせッ」
「そうだね」
……素直だな。
「君は私に抱っこされる子供じゃない」
ゾゾゾっ
(こいつが、まともな事を喋ると背筋に悪寒が走るんだーッ)
「見せてもらおうか」
「なにを?」
「君が大人である証明だよ」
……どうやって?
よくぞ聞いてくれた!
「精通は済んでるね」
………
………
………
「は?」
「射精してみようか!できたら君は大人だよー!」
「ナアァァァーッ」
「一人でイけるか不安なんだね。私が手コキしてあげよう♥かー君、一緒にイこう!」
「一緒にって、どういう事だァァッ」
「君一人だけイかせられない!私は君の保護者だ。共にイこう!!」
ジッパー下げるなッ
自分のジッパーも下げるなァァーッ
「テレビに映っとる」
「見られると興奮するねぇ」
なッ
「変態エロ大使ー!!」
「ありがとう、最高の褒め言葉だ」
ギャアァァァーッ
固い!
お尻に当たる突起物が。
「さぁ、君のちんこと私のちんこを重ねてVの字を股間に掲げよう!ピースだよー✌」
放送事故だ~
猥褻物が全国生中継で、お茶の間に映ってしまう。
「総理帰国の祝杯をあげよう。君と私の汚れたミルクで!!」
「一人で逝けェェェー!!!」
プシュウゥゥゥー
………大使撃沈。
さようなら、僕達は君の勇姿を忘れない。
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