9 / 18
Ⅱ 俺と大使と総理③
ぷに
「かー君」
「……」
「お顔見せて」
「……」
「かー君ってば」
ぷにぃ~
指が頬っぺたを突っつく。
「お土産に、かー君の大好きなクマさんのぬいぐるみ買ってきたよ」
「……」
「君は、ぬいぐるみがいないと眠れない泣き虫さんだからね。おっきくなった君が、ぎゅー★できる特大クマさんだよ」
おい、大使!俺がいくつの話をしてるんだっ
「そう言えば君、最近コーヒーに凝ってたよね?
グァテマラのコーヒー農園一つ丸ごと買ってきたよ。産地直送で新鮮な豆が空輸されるから、美味しいコーヒー飲めるよ!」
規模が違うな、大使。
「あ、後ね。グァテマラの鉱山で新鉱物が発見されたんだ。……これだよ、これ!」
わっ!この人、なにポケットから出してんだッ
「綺麗な緑だろ。……うん、思った通りだ。君の肌によく映える。
一目で君に似合うと直感したから、買ってしまったよ」
衝動買いするなー!
「ビューティー★カイ……なんて、どうだろう?」
「なにが?」
「宝石の名前さ。命名権も買ったんだよー」
「なにィ」
「ビューティーか~い?」
オヤジギャグかーッ
「世界に恥さらすなーッ」
ダサ。
★いらん。
間の★!!
「夜は美味しい物を食べようか。かー君は、なに食べたい?」
ぷにぷに、つんつん
「お寿司かな?それとも、すき焼き?湯どうふもいいね。体があったまるよ……あっ」
「はぃ?」
どうした、大使?
「分かったよ!」
なにが?
「かー君が今夜、一番食べたいのはカレーだね!」
つんつんつん
「君の愛らしいお口に、あーん♪で食べさせてあげる。腕によりをかけた具だくさん♪パパ手作りカレー!たーんと召し上がれ」
「た・い・し~~」
「カレーが待ちきれないのかい?公務を片付けたら真っ先に帰るね。今は指で我慢だよ。ちゅーちゅーするかい?」
「俺はッ」
「パパの指、吸おうか。ちゅーちゅー」
「俺はそんなの欲しくないんだァァーッ!」
俺が欲しいのはッ
……「なんだい?」
闇色の瞳が低くささめいた。
青い天空高くそよぐ風に吹かれて……
「パパがなんでも買ったげるよ」
あなたは、いつも……
笑顔ではぐらかす。
だったら……
買ってもらうよ。
「俺が欲しいのは、この国だ」
ねぇ、パパ
「日本を買って」
「いいよ」
……………………へ。
ともだちにシェアしよう!