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薫香-kunkou-3
いつも、しゆちゃんの匂いは俺の癒やしだ。何処に居ても惹かれる。雰囲気とかオーラが、癒やしだ。
「樹矢?髪の毛擽ったいんだけど。」
少し笑いながら俺に言う。
「んー。可愛いんだもん。もうちょっと充電させて。」
しゆちゃんの肩に顔を押し付ける。
「もう…ちょっとだけだからね。」
俺の腕にしゆちゃんの手の温もりを感じた。
普段は生意気なのにこのデレた時がまた俺には堪んない。
「机の上の雑誌、見たよ。やっぱりしゆちゃんの写真が一番だね。」
「………ありがと。」
手に力が入って、照れているのが分かった。
「……よしっ!良いよ。元気いっぱいになった!」
しゆちゃんから腕を離し、顔を見ていつもの笑顔を振りまく。
「んふふ、ホント単純だなぁ。」
それで良いの。しゆちゃんの笑顔が見れるなら、傍に居てくれるなら俺は笑い続けるし愛し続ける。
「お腹空いたーっ!早くご飯食べたーい‼」
「あんたが俺の手を止めたんでしょうが。」
「あ、ホントだ。」
二人で笑い合う。これがいいんだ。幸せなんだ…この空間は他の誰にも邪魔されない。俺達だけの幸せの空間だ。
__________誰にも邪魔させないよ。
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