20 / 227

薫香-kunkou-3

いつも、しゆちゃんの匂いは俺の癒やしだ。何処に居ても惹かれる。雰囲気とかオーラが、癒やしだ。 「樹矢?髪の毛擽ったいんだけど。」 少し笑いながら俺に言う。 「んー。可愛いんだもん。もうちょっと充電させて。」 しゆちゃんの肩に顔を押し付ける。 「もう…ちょっとだけだからね。」 俺の腕にしゆちゃんの手の温もりを感じた。 普段は生意気なのにこのデレた時がまた俺には堪んない。 「机の上の雑誌、見たよ。やっぱりしゆちゃんの写真が一番だね。」 「………ありがと。」 手に力が入って、照れているのが分かった。 「……よしっ!良いよ。元気いっぱいになった!」 しゆちゃんから腕を離し、顔を見ていつもの笑顔を振りまく。 「んふふ、ホント単純だなぁ。」 それで良いの。しゆちゃんの笑顔が見れるなら、傍に居てくれるなら俺は笑い続けるし愛し続ける。 「お腹空いたーっ!早くご飯食べたーい‼」 「あんたが俺の手を止めたんでしょうが。」 「あ、ホントだ。」 二人で笑い合う。これがいいんだ。幸せなんだ…この空間は他の誰にも邪魔されない。俺達だけの幸せの空間だ。 __________誰にも邪魔させないよ。

ともだちにシェアしよう!