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一色-hitoiro-5
太陽が俺達を照らす。
周りにスタッフはいるのに、撮る側と撮られる側、二人だけの空間になったように俺は錯覚した。
カシャ…カシャ…
レンズの奥の朱斗さんに向けて、勝手に付き合ってて彼氏みたいな設定で優しい表情を送った。
「……朱斗…カッコイイ?」
カメラに。朱斗さんに。俺は手を伸ばして、不意に聞いてしまった。
カシャ…………
シャッターが押され、カメラをずらして朱斗さんの顔が見えて目が合う。
真っ直ぐと綺麗な瞳に見つめられて、朱斗さんは俺に言った。
「カッコイイですよ………。」
_______________
撮影が無事に終わり、同時に今日の仕事も終わった。
急いで衣装から私服に着替え、駆け足で朱斗さんの元へ向かった。
そこには機材を片付け終わって、荷物を持ち帰ろうとしていた朱斗さんがいた。
「っ朱斗さん‼‼」
俺の声を聞いて、ゆっくりと振り返った。
「今日、ありがとうございます!すっごく楽しく撮影できました。」
「それは良かったです。」
「あの、お礼じゃないですけど、これからご飯一緒にどうですか??」
何回も断られてるけど、今日こそは‼と思って誘った。
「……いいですよ。」
「…へ?」
あまりにアッサリとOKの返事を貰って目が丸くなった。
「え?…え??いいんですか?」
「いいですよ。行きましょう。」
その返事が嬉しくて嬉しくて、鼓動がどんどん早くなった。
朱斗さんの手を取って俺は早足で歩き出した。
俺は朱斗さんに会って、心に空いた部分が埋まっていく気がした。
今まで見てきた世界が嘘みたいに色づいていく気がした。
朱斗さんと生きたい。朱斗さんを愛して、愛されたい。これからを一緒に歩みたい。
__________彼が俺の世界を色付けてくれる。
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